『END ROLL』[DISC REVIEW]
Rudo
COLUMN
ロックンロールを
正しく継ぐ者たちの
はじまりの歌
令和現在のシーンにあっては、稀有とも言えるストレートなバンド・サウンド。神戸・六甲にて結成されたRudo(ルド)による初の全国流通盤。結成から、わずか2年半、アルバム2枚、EP1枚のリリースを経てのフルアルバムだ。先行配信されたシングル『period』『薄明』をはじめ、鬱屈した日々を送る少年が広い世界へと羽ばたいていく姿を描いたリードソング『BANANA FISH』など全10曲。アルバム・タイトルには<好き放題生きてきた夢のような学生生活の終わり、そして新たな始まり>という意味が込められているが、そこにいたるまでの苦悩と葛藤、そして自覚の日々がエッジの効いたサウンドと艶のある歌声で描かれてゆく。
これまでリリースしてきた音源同様、1曲めはインストゥルメンタル。そこから9曲目『end roll』までが、個人的には、ワンセットで、この春、大学を卒業する彼らにとってのルックバック的意味合いが強いようにも感じた。とくに1stアルバム『6』からの再録『薄明』や、2ndミニ・アルバム『賽を振る』からの再録『JACKAL』は、時の流れとしても自然で違和感がなく、“『end roll』で終わる『END ROLL』という物語”のラストに『とある歌』(という7分半を超える壮大な、本当の意味でのエンディング)を置くというのも、実に見事な構成だろう。
強いていうなら、もっともっと不恰好な姿をさらけ出してもいいんじゃないか。良い意味で、流行りとは無縁の無骨で男臭いスタイル。ロックンロールを正しく継ぐ者たちのあたらしい歌が、いよいよ始まる。全国ツアーを含めた、今後の動きにも注目したい。(なかしまさおり)
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