ExWHYZが描く新たなステージ
“終わり”から始まる
Dance Your Danceな新時代

ExWHYZ

取材/文:なかしまさおり

ExWHYZが描く新たなステージ<br>“終わり”から始まる<br>Dance Your Danceな新時代<br>

所属するWACKの中でも、ひと際目立つ異色の存在──ダンス・ミュージックを取り入れたエモーショナルと一体感が融合したライヴで人気を博したEMPiREが、今年6月に突然解散。解散と同日に、まったく同じメンバーにて結成されたExWHYZ(イクスワイズ)がレーベルをUNIVERSAL MUSIC / EMI Recordsに移し、11月2日ついにファーストアルバム『xYZ』をリリースする。国内外のトップ・クリエイターたちがこぞって参加した今回の作品。歌詞やパフォーマンスに込めた思いとは?アルファベット最後の3文字から始まる新たなステージについて、mayuとmahoに話を訊いた。


──まず、EMPiREを解散して、ExWHYZを結成する、という話を聞いた時は、どんなお気持ちでしたか?


mayu:ちょうどツアーの最中で、そのファイナルまであと1週間とちょっとっていう時期だったんですよね。そんなときに、突然集められて、「解散します」と言われて、とにかくビックリしたというか…。mahoちゃんなんかは、社長のこと、めっちゃ静かに睨んでたし(笑)。号泣してるメンバーもいれば「じゃあ、ファンの人と会えるのは、ツアーファイナルの日だけってことですか?」みたいなことを冷静に質問する子もいたりとかで、さまざまでしたね。

[TEASER] EMPiRE DOPE MAGiC TOUR DOCUMENT MOViE (2022年)

mayu:私自身は…あまりにも急すぎるし、逆に“何か、あるんじゃないか?”、ここはいったん最後まで話を聞くか…ぐらいに思っていて(笑)。それでも、私たちは今まで5年もやって、それだけ(長く)やって来たのに、最後が約1週間後のツアーファイナルの日だというのは、あまりにも段取りがなさすぎて、お客さんに対してそんな終わり方で大丈夫なの?良くない!絶対良くないじゃん!!っていうことは、すごく思ってました。


──ただ、結果的には“同じメンバーで、新しいグループを作る”という発表があり。


mayu:はい(笑)。まだお客さんに会える、自分たちの活動ができるんだと思って、そこはすごく嬉しかったです。でも、同時に、そんな必殺技みたいなこと(1回解散して、同じメンバーで新しいグループを始めるということ)は、この1回しか使えない最終手段だなとも思えたので、これが本当に最後のチャンスなんだな、もう一度気を引き締めて頑張ろう!ということを、すごく思いましたね。


maho:でも、(今回のやり方を)考えてくださった方たちもきっと、意地悪をしてやってたわけではなく(笑)、どうしたら私たちの可能性を広げられるのか?どうなることが一番ベストな方法なのか?を、たくさん考えてくださった結果だったと思うんですよ。その上で、やっぱり“続けていくこと”に意味があると思うので。解散発表でファンの皆さんのことを悲しませてしまった事実は、もちろん変わらないんですけど、私たちは、このことをもっと上手く、もっと楽しいことに変えていけるよう、みんなで力を合わせて頑張ろうと思えたので、今も前向きに活動できています。


──新しいグループ名、ExWHYZにはどんな意味が込められているんでしょうか?

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ExWHYZ Teaser Movie (2022年)

mayu:最初は、社長がホワイトボードに書いてくださったんですよ。でも、読めなくて(笑)。由来は“XYZ”っていうカクテルだそうです。一番最後に飲んで、それを飲んだらおしまいっていうような意味があるお酒なんですけど、“極上のカクテル”とも言われてるらしく。私たちも“これが最後という覚悟を持って、極上のグループになりたい!なろう!”そういう気持ちが込められています。あと、“Ex”には“元(もと)”っていう意味もあるので、元EMPiREだよっていうところも、ちゃんと込めた造語だそうです。


──なるほど、ExにはEMPiREとしての歴史もちゃんと込められているんですね。ExWHYZとしては8月に第1弾の楽曲『Wanna Dance』を発表されました。大沢伸一(MONDO GROSSO)さんプロデュースで大きな話題となりましたが、いかがでしたか?


mayu:『Wanna Dance』はサウンド自体、すごくのれる曲だと思うんですね。だから、聞いているだけで体が自然に動くというか。でも、実は歌詞も、新しいグループが始まって、ちょっと不安な気持ちとか、この先また、まだまだ歌えるし、もうみんなのことを悲しませたくないっていう、私たちのその時の気持ちなんかも入っていて、そこは歌うたびに、グッときます。

『Wanna Dance』MV(2022年)

──もともと皆さんは、“ダンス”が非常にカッコ良いグループとして高い評価を受けていたと思うんですけど、この楽曲には、そのダンサブルなカッコ良さにプラスして、“大人っぽい艶やかさ”が感じられます。ご自身たちとしては、ExWHYZに進化したことで、何か意識的に変えた、あるいは変わったと感じる部分はありますか?


mayu:今、言ってくださった通り、私たちが今までやってきたこともちゃんと大事にしつつ、新しいものも取り入れていこうという意識はみんなの中にあって。歌い方だと、nowはとくに分かりやすかったですね(笑)。可愛らしい歌声が特徴なのですが、今回のレコーディングでは“大人っぽい表現に挑戦してます!”っていう姿が垣間見えて、楽しかったです。そういうメンバーの新しい一面を、制作過程でも見れたことがおもしろかったです。


──今作には他にも、国内外のカルチャーシーンの第一線で、活躍されているクリエイターの方々が多数参加されています。スリリングなオープニングトラック『xYZ』と、そこから地続きの『D.Y.D』、そしてラストの『Universe』は篠田ミルさん、山田健人さんのyahyelコンビによる楽曲。山田さんは作詞にも参加されているようですが、『D.Y.D』も『Universe』も、ここから何かが始まるぞという強いメッセージ性が感じられてカッコいいですね。


mayu:ありがとうございます。今まで、こんなふうに曲で繋がって2曲目に行くみたいな構成もなかったですし、そこは私もお気に入りポイントになっています。それこそ山田さんには、EMPiREの時からステージの演出にも入っていただいたり、MVを撮っていただいていて。とくに幕張メッセでのワンマンの時は、私たちのパーソナルな部分にまで、すごく踏み込んで、寄り添う形でサポートをしてくださっていたので。今回も曲を作っていただく時に、メンバーそれぞれの得意なこと、良いところを伸ばすようなディレクションをしてくださいました。なので、歌詞もデモの時の山田さんの言葉を主軸にしながら、少しずつ自分たちに寄った歌詞へと仕上げていくことができました。

mayu

──お二人が歌詞を書かれた曲もありますね。例えば、可愛らしさもありつつ、アーバンな魅力に満ちた『4:00 a.m』はMichael Kanekoさん提供の曲で、これまでになかった新しい一面を感じますが、歌詞はmikinaさんとmahoさんの共作?


maho:はい。今回のアルバムで私が歌詞を書いた曲に関しては、基本的に“今、自分たちが置かれてるリアルな状況”の中から、新しく始まるグループに対する思いとかを書きとめた曲が多くて。『WEEKEND』とか『You & Me』では、恋愛を装いつつも、ファンの人との関係性とか、ライヴに対する思いを書いているんですけど、『4:00 a.m』は全く別物で。mikinaちゃんのストーリー(構想)をいただいて、サビとかを私が、遊び心で楽しく書かせていただきました。もちろん、EMPiRE時代も恋愛の曲は書いていたんですけど、ExWHYZになって、またちょっと複雑な大人の恋模様に挑戦したので(笑)。聴いてくださる方は是非、それぞれの考察をしながら楽しんでいただければと思います。


──なるほど。確かに『WEEKEND』の歌詞には、xYZとかも出てきてますね。


maho:そうなんです。さっきmayuちゃんが言ってたみたいに、XYZのカクテルが“これが最後だよ”っていう意味だと伝えられていたんですけど、他にはどんなのがあるんだろう?と思って、調べてみたんですよね。そしたら、“最高の”という意味もあるし、 見た目は白くて可愛らしいし、すごく飲みやすそうなのに“実は度が強い”みたいなことが書いてあって。あ、なんかそれもいいな!と思って。私たち、結構明るい感じで、いつもヘラヘラしてるけど、実は…(スゴイんだぞ)みたいな、ね?そういうグループになったらいいなと思って書きました。


──関口シンゴさん提供の『あいしてる』は優しい音色が素敵なバラードですね。サビでは、mayuさんとmahoさんの掛け合いもあるとか?


mayu:この曲はEMPiREが解散した後、最後にEMPiREの名を掲げて開催したツアー「元EMPiREなりのラストツアー」のファイナルの次の日にレコーディングしたんです。でも(現在、活動休止中の)どりちゃん(midoriko)がいない状態での5人では、初めてのレコーディングで。…だから、余計にちょっと寂しい気持ちとかもあって。自分の中ではしんみりした気持ちのまま歌ったのを覚えています。mahoちゃんの歌詞も沁みるような歌詞なので、余計に気持ちが入りましたね。


──mayuさんが作詞で参加された『Higher』には、メンバーのへの気持ちが込められていると聞きました。


mayu:はい。Shin Sakiuraさんとの共作なんですけど、“あれから何年経ったろう”というフレーズがもともとShinさんのデモに入っていて。それを聴いた時に、あ、これ、書けそうだな!と思ったんです。つまり、 1回解散して、また新しいグループが始まるっていう時に、回想して振り返るターンがあるじゃないですか?それが最初のAメロの入りとすごく合ってて。Shinさんの歌詞から膨らませていって、2番以降を書きました。もともと何かの節目で、メンバーに対しての気持ちを書けたらいいなとは思っていて。普段、口にして言うのは恥ずかしいけど、歌詞にしたら伝えられそう…って(笑)。今までも一緒にやってきたよね。でも、まだまだやれることあるし、頑張ろう!って。自分たちを鼓舞するためにも入れたいなと思って書きました。


maho:私は結構、メンバーへのことを(歌詞に)書きがちなんですけどね(笑)。mayuちゃんは、そういうの初めてだったと思うので、あぁ、嬉しいなって思いながら歌いましたね。

maho

──そういう意味では、これからツアーとかでやっていくごとに、気持ちがどんどん高まっていく曲なのかもしれませんね。


maho:そう!それ、昨日思いました(笑)!実は昨日(タワーレコード福岡パルコ店での)イベントでやったんですよ、『Higher』。


mayu:しかも、福岡で初披露だったんだよね?


maho:そう。それですごく楽しかったので、ライヴハウスになったら、もっと楽しくなるんだろうなって。


mayu:この曲にはファンの人と楽しめる振り付けもあるし、何より、私たちは、“メンバー同士わちゃわちゃすることでテンションが高まる!”みたいな部分があるので(笑)。これが、そういう1曲にもなりそうかなと。ただ、今までやってきたライヴの楽しみ方も大事にしつつ、また違う楽しみ方も出していけたらいいなとは思っています。例えば、振り付けを真似するだけじゃなく、自然と自分の思ったままに…それこそ、ステージとかもう見なくていいぐらいの感じで揺れる、とか。自由な楽しみ方でも何でもありだよっていうふうに、できたらいいなと思ってます。


──他にも、“どうしてもミュージックビデオを作りたいキラーチューン”として、クラウドファンディングで支援を募った『STAY WITH Me』や、ポップの名手・岡嶋かな多さんが詞を提供、80KIDZ、Maika Loubtéさんが曲を手がけたアシッドハウス的なアプローチの『Obsession』など、聴きどころは尽きませんね。

『Obsession』MV(2022年)

mayu:はい。自分がすごくかっこいいと思っていた音楽を作ってらっしゃる方々に、自分たちの曲を書いてもらえて、レコーディングのディレクションまでしていただいたので。すごく嬉しかったし、是非、皆さんにも自信を持って“聴いていただきたい”と思える1枚になりました。


maho:今回のアルバムでは、私自身、本当に“初めまして”の方が多くて。その方々(のお仕事ぶり)を知るという意味でも、すごく楽しいものになったし、皆さん、レコーディングにも立ち会ってくださり、それぞれの雰囲気、それぞれのやり方、“あ!そうやって作っていくんだ?!”っていう部分を肌で感じることができて、非常におもしろかったです。


──さて。そんなアルバムを携えての全国ツアー「ExWHYZ First Tour“xYZ”」が11月3日からスタートします。オープニングアクトには、元EMPiREも出演されるそうで。最後にお二人から、11月20日の福岡公演に向け、ファンの皆さんにメッセージをいただければと思います。


mayu:実は福岡に対してはEMPiREの時代から、すごく“縁”を感じていて。例えば、初めてのワンマンの初日、nowのお披露目公演……振り返ると、節目節目に必ず福岡があったなって。しかも、福岡のみんなはすごく熱くて。ライヴやイベントでも積極的に向かってきてくれる感じが、すごくするんですよね。だから、今回のファーストツアーも是非、たくさんの方に来ていただいて。もっともっと福岡のみんなと距離を縮めたいなと思っていますので、是非、一緒に楽しんでもらえたらなと思います。


maho:みんなファーストアルバムを聴いて、どんなライヴになるのかなって、ソワソワしてる部分もあると思うんですけど、私たちも初めて尽くしのツアーなので、全く同じ気持ちです。なので、できればこれから、みんなと一緒に“ExWHYZ”を探して、見つけていけたらいいなと思いますので、是非、みんなには楽しむ気持ちでライヴに来てほしいです。一緒に過ごすのを楽しみにしてます!


──そういえば、新しいポーズも決まったんですよね?


mayu:そうです!EMPiREのポーズが、指3本(親指と小指を閉じて、人差し指、中指、薬指を立てて真横にするポーズ=これから爪痕を残していくぞ!)だったので、ExWHYZでは、逆に使ってない指(親指と小指)を使ってみようということで、アロハ(いわゆるシャカ・サイン)みたいなポーズになりました。意味合いとしては、EMPiREでやってこなかったようないろんなことに挑戦しようという気持ち、あとは、ちょっと恥ずかしいんですけど…私たち、すごく明るいグループでいつもニコニコしてて、“笑顔が取り柄”だと言われているので(笑)、(作ったポーズを口元に当てて)こうすると、笑顔っぽいかな?というのもあって。他にも、さっきのお酒のXYZにもひっかけて、(ポーズを縦向きにして、グラスに見立てて)こうやって飲む、みたいな(笑)ことも…いろんな意味が込められています。


──なるほど。今度のツアーでも、多くの方に真似していただいて。もっともっとExWHYZの音楽の魅力と一緒に、そのポーズも広げていけたらいいですね。楽しみにしています。

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RELEASE

xYZ

Album

2022年11月2日発売
EMI Records
◀︎ 【通常盤】

CD収録曲
1.xYZ
2.D.Y.D
3.STAY WITH Me
4.Obsession
5.4:00 a.m
6.WEEKEND
7.Wanna Dance
8.あいしてる
9.You & Me
10.Higher
11.Universe

【初回生産限定盤】CD+Blu-ray+PHOTOBOOK
Document Film “The Birth of ExWHYZ”
Music Video “Wanna Dance”

【DVD盤】CD+DVD
Document Film “The Birth of ExWHYZ”

PRESENT

ExWHYZ

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LIVE INFORMATION

ExWHYZ First Tour“xYZ”

2022年11月20日(日)
Zepp Fukuoka

PROFILE

ExWHYZ

yu-ki、mayu、midoriko(持病療養のため現在、活動休止中)、mikina、maho、now。2018年4月にデビューし、今年6月に突然解散を発表したEMPiREが、その発表から3日後、まったく同じメンバーにて結成した新グループ。“元EMPiREなりのラストツアー(7月21日〜8月18日)を経て、大沢伸一(MONDO GROSSO)が手がけた『Wanna Dance』、80KIDZ&Maika Loubté提供の『Obsession』を配信リリース。個性的なメンバーがひしめくWACKの中でも、今後の飛躍が最も期待されている6人。踊れる大人のダンス・ミュージックにのせ、進化したダンスで多くのファンを魅了するに違いない。