今の自分、今しかできないことを表現した新作。
NOAの2ndフェーズがここから始まる。

NOA

取材/文:モリカワカズノリ

今の自分、今しかできないことを表現した新作。<br>NOAの2ndフェーズがここから始まる。

5月29日、アーティスト・NOAの2ndアルバム『Primary Colors』がリリースされた。日本語で「三原色」を意味するタイトルには、トリリンガルでもある自身のアイデンティティーが表現されており、 “今のNOA”が詰まっているという。約1年3ヶ月ぶりとなるこの新作には、どんな思いが込められているのだろうか。作品作りのこだわりから、アルバムを引っ提げたライヴまで、福岡を訪れたNOA本人にじっくり語っていただいた。


「三原色」こそが今の自分。表現の幅も広がった

──福岡自体は、先日4月21日に、マリンメッセ福岡A館で開催されたUTO FEST in Fukuokaへ出演されて以来とのことです。福岡でのライヴはいかがでしたか?


NOA:マリンメッセでライヴをすること自体初めてでしたし、すごく楽しかったです。印象的だったのは、僕がYGエンターテインメントの練習生時代の同期である、AB6IXというグループの(チョン)ウンさんも出演されていたことですね。当時一緒に練習していた時は、こんな舞台で一緒に出演できるなんて全く想像できなかったことなので、不思議でありつつも嬉しかったです。舞台裏でもずっとウンさんを見ていて、「かっこいいな」って思っていました。お互いに久しぶりに会っていろんなお話ができたのも楽しかったですね。


──お互いに成長した姿を見られて感慨深いものがあったのですね。ちなみに、昨年行われたNOAさんの1stアルバムツアーのファイナル「“NO.A”TOUR SPECIAL LIVE IN ARIAKE ARENA」の会場が有明アリーナでした。マリンメッセ福岡は有明アリーナとちょうど同じようなキャパでもありますね。


NOA:そうですね。絶対にここでワンマンライヴをしたいなという気持ちになりました。また必ずマリンメッセに帰ってきたいと思います。


──今からその時が楽しみですね。さて、ここからは約1年3ヶ月ぶりとなる待望の2ndアルバム『Primary Colors』についてお伺いさせていただきます。リリースおめでとうございます。取材時点では、まだリリース前ですが、今の心境をお聞かせください。

NOA – 『Primary Colors』Digest Teaser

NOA:今までにないような感覚というか、すごくドキドキしていますね。自信作だからこそ達成感がありますし、それが世に放たれると逆に緊張するというか。でも、この楽曲たちをみんなに聴いてもらえる日が来ると思うととてもワクワク感がありますね。


──リスナーのみなさんも楽しみにされていることと思います。まずは、アルバムタイトルである『Primary Colors』に込めた思いをお聞かせください。


NOA:『Primary Colors』は「三原色」という意味です。実際に自分が、日本語、英語、韓国語が喋れて、それぞれの言語を話す時の人格の違いみたいなものを曲に落とし込んだら面白いんじゃないかというところから作り始めたアルバムになっています。
なので、今回一緒に制作したサニー(Sunny Boy)さんとのお話の中で、サニーさんから「三原色(Primary Colors)をテーマに作ったらどうだろう」という提案をいただいて、このタイトルに決まりました。


──3カ国語を扱うことができるNOAさんならではのコンセプトになっているわけですね。それぞれの言語を話している時の性格が曲として表現されている、というのが非常におもしろいですね。各言語を話している時って、どのような性格なのでしょうか?


NOA:韓国語を喋っている時は情熱的であり、良い意味でアグレッシヴな感じ。一番大人っぽくなりますね。日本語だと、丁寧語や敬語という独特の表現方法がある分、日本語を喋っているとすごく丁寧になります。あと、英語だと逆にフランクになって、人見知りすることもありません。
今回は、日本語だけ、英語だけ、韓国語と英語だけの曲がありますので、より自分の性格や言いたいことをダイレクトに表現できていると思います。


──そのあたりも今回の“挑戦”という感じですね。今作は、そんなNOAさんのアイデンティティーを色分けし、赤、青、緑の3色で構成されています。ちなみに私は、曲を聴く時って、ぼんやりとその曲のカラーが思い浮かぶタイプなのですが、このアルバムはその逆の経験ができます。非常に面白いアプローチですね。

※1曲目『COLORS』は【無色】、2〜7曲目の『gimme』『BURN』『RED ZONE』『Prime』『answer』『between』が【赤】、8〜10曲目の『YBOM(You’ve Been On my Mind)』『imasara」『Break Away』が【青】、11曲目以降の『Last Letter』『Always and Forever』『Fell in love in NYC』『00:02 (You & I)』が【緑】で構成


NOA:当初は、例えば、「カラーを一色だけにする」とか、「ジャンルをR&Bだけにする」とか、特定の何かに絞ったアルバムもありかなと思っていたんですね。でも、前作の『NO.A』(ナンバーエー)から自分のことをまだ表現できていない部分がすごくあるというか、もやもやしている部分があって。それが何だろうって思った時に、自分は三カ国語喋れて、その言語から出てくるそれぞれの表現の違いみたいなものを表したら、またより新しい自分をお見せできるし、自分自身も発見が得られるんじゃないか、となったんです。
そんなことを考えている時に、サニーさんから「Primary Colors」というワードを聞いた瞬間、「そうだ、これだ!」って感じたんです。


──とても良いテーマですね。確かに、赤、青、緑の中でもいろんなバリエーションがあって、聴いていて本当に楽しいです。


NOA:ありがとうございます。赤、青、緑に分けたことで、各色のキャラクターから出てくるメッセージ性の違いが表現できたと思います。同じ赤の中でも広がりがあるので、「曲の幅=人格の幅」みたいなものも感じていただきたいなと思います。


──「アルバム全体を三原色に分ける」という大きなテーマがある分、制作時に苦労した点は多かったのではないでしょうか?

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NOA:確かに難しさはありましたが、このアルバムに関しては、一曲目の『COLORS』を除いて、最初の時点で曲が全部揃っていたんですよ。なので、改めて新曲を作るという作業はありませんでした。唯一新曲は一曲目の『COLORS』だけで、そのほかは基本全部ストックがあって、その中で色分けを考えていくという作業がメインでした。
なので、例えば「青っぽい曲が多すぎるから、この曲を赤っぽくしてみようか」とか、ちょっとアレンジを変えてみるという作業が多かったので、逆に言うと制作はしやすかったかもしれないですね。


──色の捉え方って人それぞれあるから、その色のイメージを作っていくというところにも難しさがありそうですね。


NOA:そうですね。自分も他のアーティストさんの曲を聴く時は、色とか景色を思い浮かべながら聴くんですが、作る側として曲のイメージを色で表現する難しさはありました。でも、青っぽい曲を赤くしたり、赤い曲を青っぽくしたりするのって、今までにはない経験だったので、難しい反面、楽しくもありました。なので、より効率的に制作はできたかなと思います。


──無色の後、「エネルギッシュ」を表現した赤色、「センチメンタル、知性、冷静」を表現した青色、「幸福感、自然体、リラックス」を表現した緑色と続きます。この色の順番にはどんなこだわりがありますか?


NOA:こだわりとしては、赤の曲が圧倒的に多いのですが、それは自分の感情が影響しているんだと思いますね。今自分が表現したいことが赤のキャラクターなんだろうなって。あと、色の並びとしては、絶対最後は『00:02 (You & I)』を置きたかったので、必然的に、最初の『COLORS』と最後の『00:02 (You & I)』になることで、色の順番も自然と決まっていった感じです。


──色の変わり目のグラデーションにもこだわっているのだとか?


NOA:そこは結構こだわった部分でもあり、めちゃめちゃ時間がかかったところですね。
例えば、7曲目の『between』は赤の最後の曲ですが、僕は赤のつもりで作っていても、他の制作陣の中には「青っぽい」という方もいて。だから、あえて赤と青の境界線において、グラデーションの役割にしています。
急に色がパッと切り替わるというよりも、色の変化を感じながらトラックリストを聴いていただきたいと思っていたので、色のグラデーションはかなり意識しています。

NOA – between【Official Music Video】

──なるほど。14曲もあって聴き応えもあるので、ぜひ1曲目から最後まで曲順で聴いてほしいですね。聞くところによると、NOAさん的に、最終的に2曲を追加してでもこの曲数にしたかったそうですね。


NOA:そうなんです。でもどの曲を最終的に追加したのかは覚えていないので、謎の2曲なのですが(笑)。でも、12曲では物足りないと感じていて、どんどん曲を足していくと16〜17曲くらいにまで膨らんでいき、最終的に14曲まで厳選したという感じです。制作陣には、「どれだけ忙しくなってもいいから14曲にしたい」と伝えて、今の形になりました。


『COLORS』を作っている時はアドレナリンがすごかった

──厳選を重ねた14曲ということですね。その中でも、生み出すのに苦労した曲などはありますか?


NOA:作り出すまでに時間がかかったのは『COLORS』ですね。先ほども言ったように、このアルバムのために作った唯一の曲ということもありますし、苦労しました。今回、タイトル曲がなかなか決まらず、5曲目にある『Prime』をタイトル曲にしようかとも思ったんですけど、それもしっくりこなくて。それでも妥協できなくて候補曲を何曲か作ることになったんです。
デスクの上で、サニーさんと僕で別々にパソコンを広げて、お互いに曲を作っていったんですね。その中で、最終的に僕が作った曲が『COLORS』になったという感じです。曲ができるとそこからは早くて、「なんかこれいけそうじゃないですか?」ってなったら、サニーさんが横で楽器をバーって弾き始めて、それを僕のパソコンに入れて音を重ねていきました。完成したら二人で「これはヤバいのができたね」って(笑)。苦労はしたけど、諦めずに作り続けた結果すごくかっこいい曲ができたので、達成感はやっぱりありますよね。


──粘り続けた甲斐があったわけですね。タイトルや歌詞なども苦労されましたか?


NOA:『COLORS』というタイトルは先に決まっていて、そこから僕がトラックを作り始めると、もうサニーさんの頭の中では歌詞のストーリーができていったみたいです。グレー(歌詞では「All gray〜」)から始まって、それにどんどん色が混じっていってという感じで。それを二人で一緒に具体的な歌詞に昇華していきました。
お互いにストーリーが共有できていたからこそスムーズに歌詞ができましたし、作っている間はずっとテンション高かったですね。あの時はアドレナリンがすごかったです(笑)。


──その当時の興奮度が伝わってきますね。Sunny Boyさんと曲を作る時は、いつもそういったスタイルなのでしょうか?


NOA:一から曲を作る場合は、基本的に僕がトラックをある程度作ってて、そこにサニーさんがブラッシュアップをかけていく作業が多いかもしれないですね。


──そうなんですね。今回のアルバムは最初の段階で14曲以上のトラックの候補があったとおっしゃられていましたが、NOAさんの中で結構トラックのストックは常に持っている感じですか?


NOA:トラックはめちゃめちゃありますね。何年か前に作った曲を採用しているケースもあって、今回も11曲目の『Last Letter』は、元々19歳の時に書いた曲に、間奏部分は最近書いた曲を組み合わせて作った作品になっています。お互いにまったく別の曲として作っていたんですけど、たまたまキーもBPMも同じだし、くっつけてみたら上手くハマったんですよね。


──それも面白いアプローチですね。あと苦労した曲で言うと、13曲目の『Fell in love in NYC』も時間をかけた曲だそうですね。


NOA:実際にニューヨークの街を歩いている時にインスピレーションを受けて作った曲です。この曲の間奏部分は7回くらい、何度も書き直したほど、ずっとしっくりこなくて。アコースティックギターから入って、そこからダンスチックにまとめていき、間奏部分のEDM調に繋がっていくのですが、その流れがどうしても上手く作れなくて苦戦しました。それでも、粘って粘って、とてもいい流れが作れたので、そこも含めてじっくりと聴いていただければ嬉しいです。


──間奏のこだわりを感じながら、改めて聴き直したいと思います。あと、14曲目の『00:02 (You & I)』(トゥー・セカンズ)のコーラス部分にもこだわりがあるのだそうですね。

NOA – 00:02 (You & I) 【Official Music Video】

NOA:そうなんです。この曲のコーラスは、ファンミーティングをした各会場でのNOANA(NOAのファンクラブ名)のみなさんの声をレコーディングして作られています。


──実際にはどうやってレコーディングしたんですか?


NOA:事前に僕が歌ったアカペラを流して、それをみんなに真似してもらう形を採用しています。左右のステレオやハモリをそれぞれ会場のみんなに歌ってもらいました。僕も初めての試みだったんですけど、最初にパソコンで確認してみると、もうインパクトがすごくて。あの時の興奮は忘れられないですね。実際にすごく厚みが出ましたし、この曲をライヴでやるのがすごく楽しみになりました。


ライヴでは心の底から楽しむ準備だけして来てほしい

──新しいNOAさんのアンセムとして、ライヴでも愛される曲になりそうですね。さて、すでに『COLORS』のMVが公開されています。ダンスも見応えがあって、かなりカッコいいビデオになっています。振り付けのこだわりはどんなところにありますか?

NOA – COLORS 【Official Music Video】

NOA:この曲の振り付けはAkanenさんというダンサーさんに担当していただきました。Akanenさんには、レトロチックな曲を表現できるような要素を入れてほしいとリクエストさせていただきました。


──確かに。マイケルジャクソンを彷彿とさせるゼログラヴィティのシーンもありましたね。


NOA:僕も小さい頃からマイケルが大好きなので、この振り付けは本当に気に入っています。ソロアーティストとして、また一つレベルを上げて、表現できることをもっと増やしていきたいと前々から考えていたので、この曲でその表現の幅を増やすことができて嬉しいです。


──この曲もライヴでの披露が楽しみです。ずばりNOAさんのライヴの魅力はどんなところですか?


NOA:曲のストーリーみたいなものをより具体的に感じられる場所だと思います。あとは、自然と体が揺れるような、心地良い雰囲気は意識していますね。
僕は、ファンのみなさんのことは仲間だと思っていて、ライヴまでに溜めてきた思いや感情をお互いにキャッチボールするような存在なんですよね。だから、本当に楽しむ準備だけしてライヴに来ていただけたらと思っています。


──それは楽しみですね。アルバムを引っ提げての全国ツアー「“Primary Colors”HALL TOUR IN JAPAN〜Flashing lights〜」が発表されています。どんなライヴになりますか?


NOA:今、絶賛セトリを考えながら、同時に演出も構想しています。今回はアルバム自体にコンセプトがあるから、曲ごとの演出にもしっかりとこだわっていきたいです。ライヴを通じて、一つのSHOWを体験していただけるようにしていきたいですね。
ぜひみんなで楽しみましょう!会場でお待ちしています。

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LIVE INFORMATION

NOA“Primary Colors”HALL TOUR IN JAPAN 〜Flashing Lights〜

2024年11月1日(金)
福岡市民会館

PROFILE

NOA

2000年3月13日生まれ、東京都出身。作曲、作詞、ダンスの振り付けまで手がけるトリリンガル(日本語・英語・韓国語)ソロアーティスト。12歳の時に韓国の美容院でスカウトされ、韓国大手事務所YGエンターテインメントに、日本人初の練習生として韓国で生活し、2018年に帰国。2020年1月より本格的に音楽活動を開始。2021年ユニバーサルミュージックからメジャーデビュー。国内外のアーティストとも積極的にコラボし、ジャンルに囚われない幅広い楽曲を制作。2024年に入り、1月22日の横浜を皮切りに初のファンクラブ限定ツアー「NOA FAN MEETING ZEPP TOUR 2024『NOANA FIELD TRIP 〜You&I〜』」を名古屋、福岡、大阪の4会場で開催。その後、5月29日に2ndアルバム『Primary Colors』をリリースし、NOA自身も「このアルバムから第二のチャプターが始まる」とコメント。10月から始まる全国ツアー「“Primary Colors”HALL TOUR IN JAPAN〜Flashing lights〜」への期待も高まる。