「金魚公園」。それは、yurinasiaの信じる無二のダンスを全身で享受できるマジカルな空間。

jABBKLAB

取材/文:モリカワカズノリ

<strong>「金魚公園」。それは、yurinasiaの信じる無二のダンスを全身で享受できるマジカルな空間。</strong>

「ダンスから滲み出る何かを感じ取ってもらいたいですね」。

そう語るのは、ダンサー・コレオグラファーのyurinasia(ユリナジア)。最近では、実写版ドラマ(Amazon Prime Video)&映画『推しの子』やNHK連続テレビ小説『虎に翼』の振り付け、ゆずのMV『flowers』への出演やユニクロのCMへの出演・振り付けなど、全国的に活躍する注目のクリエイターだ。そんなyurinasiaと夫でありダンサーのayumugugu(アユムググ)が主宰しているのが、福岡県水巻町に拠点を置くダンススポット「jABBKLAB(ジャブクラブ)」。毎週金曜日にレッスン会場である公民館で撮影されるダンス動画は、国内外から注目を集め、毎回、数万回再生される人気動画となっている。

そしてjABBKLABは、動画の枠を飛び出し、「金魚公園」と題したライヴイベントを2022年から開催。2025年2からは3回目となる「jABBKLAB TOUR 2025〜金魚公園〜」を予定している。そこには、どんなライヴ体験が待っているのだろうか。yurinasiaとayumuguguのお二人に、金魚公園への想い、表現者としてのこだわりなどについて語ってもらった。


──「jABBKLAB TOUR 2025〜金魚公園〜」が2025年2月と3月に控えていますね。現在、絶賛リハーサル中といった感じですか?(取材時点は2024年12月)


yurinasia:今月からリハーサルが始まったのですが、毎週土日は基本的に1日中リハーサルをやっています。jABBKLABには中学生や高校生もいるので、あくまで学校優先で活動しています。


──体調管理が難しい時期ですが、お身体には気をつけてリハーサルがんばってください!そもそも、「金魚公園」というイベントを開催するようになったきっかけは何だったのでしょうか。

jABBKLAB TOUR 2025 ~金魚公園

yurinasia:ありがとうございます。実は、「金魚公園」は、TENDREさんがきっかけとなってスタートしたイベントなんです。


──確かTENDREさんとは、元々、jABBKLAB としてTENDREさんの楽曲でダンス動画をいくつか出されていまし、yurinasiaさんはTENDREさんの楽曲『SIGN』のMVに出演もされていますね。実際にはどのような経緯があったのですか?


yurinasia:2021年にTENDREさんのイベント(GOOD BY COAST BY TENDRE@USEN STUDIO COAST)に呼んでもらったんですね。ダンスと音楽のセッションでライヴをしたんですけど、それがすごく反響があって。それをきっかけに、周りから「ワンマンライヴをやってみたらどう?」って声をかけてもらったので、じゃあjABBKLABだけでショーをやってみようかみたいな流れでしたね。


──金魚公園のように、いつかは自分たちだけで何かやりたいという、想いや狙いは以前からあったのですか?

ayumugugu:漠然とありましたが、自分たちだけでできるものとはリアルに想像できていなかったですね。でも、スペースシャワー(主催)のみなさんもお力添えをいただけるとのことだったので、じゃあやろうかって。


yurinasia:しかもダンスだけで、ワンマンライヴをやるって、自分たちの中では結構キャッチーなことなんですよね。それまではバンドと私たちがセッションをするという場面はいっぱいあったんですけど、バンドもない中、音源だけで自分たちのショーをやるっていう想像はできなかったですね。

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ayumugugu:僕たちが2018年くらいからjABBKLABでダンス動画を発信し始めた頃って、まだまだダンスが世の中に浸透していなくて。周りからしたら「何やってるの?」みたいな感じで思っていた人も多かったと思います。それでも自分たち的には「これがかっこいい」という自信があって何年も続けていました。徐々に周囲の声などで手応えは感じていましたけど、ワンマンライヴでツアーをするっていう自信は正直なかったですね。


──なるほど。そんな不安がありつつも、まわりの協力や後押しがあって「金魚公園」が実現したというわけですね。2022年の初回公演はどんなライヴでしたか?


ayumugugu:一発目はすごく尖っていたような気がしますね(笑)。ただのダンスイベントや発表会にはならないようにというのを意識していました。だから、MCとかDJも入れなくて、ダンスだけで1時間半ぶっ通しでやろうっていう挑戦的な感じでしたね。


──お客さんの反応はいかがでしたか?


yurinasia:それが、今まで感じたことのないような歓声で想像以上にすごかったんですよ。それを経験したからこそ、そもそも自分たちが描いていたアーティスト像ってこういうものなのかもって感じることができました。このためにダンスをやってきたのかもねっていうくらい、ライヴから得ることが本当に大きかったですね。


──1回だけでなく、それ以降も続けていきたいという想いが強かったのではないですか?


yurinasia:絶対続けていきたいと思いましたね。お客さんにも喜んでもらったと思いますけど、何よりも自分たちが楽しすぎたから、またやりたくなったっていう(笑)。


──そして2回目の「金魚公園」が2023年に開催されました。全国3箇所(東京・大阪・福岡)を巡り、TENDREさんをはじめとしたスペシャルゲストも出演されて、さらにパワーアップした内容となっていたようですね。


yurinasia:そうですね。2023年の金魚公園はいろいろ見せようとしすぎて、お客さんとの距離が空いたような感じだったんですよね。見えない空間が生じたというか。


ayumugugu:舞台上ではあんまり感じないかもしれないんですけど、袖で見ると、そのお客さんとの距離があるような気がしましたね。つい最近、前回の公演の映像を見たら、結構やれてはいると思うけど、でも改めて見るといろんなところが気になって。でも、その反省を踏まえて今回に繋げていきたいという気持ちは強いですね。

yurinasia : TENDRE

──そんなこれまでの金魚公園を経て、2025年2月からは3回目のツアーが始まります。今回はどんなライヴになりそうですか?


yurinasia:今回のテーマは「ラフ」です。過去2回までは、「田舎から出てきて、すごいものを見せてやるぞ」と思って、結構ガチガチに構成を作り込んでいたんですよね。やっぱりダンスだけでライヴをやるのって難しい部分もあるから、演目から演目までの秒数とか、そこに入れる効果音とか、見応えのあるショーとして細部までこだわっていました。
もちろんそこも大切にしていきたいけど、でも私たちの良さって、ダンスだけじゃなくて、そこから滲み出る表情とか仲の良い雰囲気とかもあるから、そこも含めてお客さんに体感してもらって一緒に楽しくなってもらいたいなって。
だから今回は、MCを挟んだり、お客さんとコミュニケーションを取ってリクエストを聞いたりと、実際にラフな時間も作っていきたいと思っています。


──みなさんのオフの雰囲気は楽しみですね!


yurinasia:私はしゃべるのが好きだし、ダンスの時とは違って明るいキャラも見て楽しんでもらえたらと思います。椅子も用意するので、座って見てもいいし、もっと盛り上がりたい人は立ってもいいし。今までよりもリラックスしていただければと。


ayumugugu:そうだね。こってりになりすぎないようにね(笑)。これまでの公演では、自分たちのダンスをじっくり体感して感動していただけたと思いますけど、その分シリアスなムードが充満していたというか。なので今回は、緊張と緩和を意識していきたいですね。


──それは楽しみですね。また、出演するのはもちろん、jABBKLABに所属するスクール生が基本だと思うのですが、今回どういったメンバー構成なのでしょうか?


yurinasia:今年は特に多くて、jABBKLABの中から24人のメンバーを選抜しました。


ayumugugu:その中には、Aisatsuとソルシェという飛び道具もいます(笑)。2人ともjABBKLABに所属するトッププレイヤーです。飛んだり回ったり、二人のパフォーマンスも含めてより見応えのある演目も楽しんでほしいですね。


──ダイナミックなダンスにも注目ですね。ちなみにセットリストも気になります。ダンス動画でアップされている楽曲が基本なのでしょうか?


yurinasia:動画で上げてきたものプラス新しい楽曲も混ぜて構成しています。例えば、前半はメドレー形式にして、jABBKLABで使ってきた楽曲や新しい曲を混ぜて、いろんな見せ方ができればと思っています。


──みなさん、動画で見た自分の好きな楽曲がかかるとうれしいでしょうね。ダンス動画からyurinasiaさんやjABBKLABさんを知る方も多いほど、今や国内外にファンが多い人気のコンテンツです。その日のレッスンの課題曲をレッスンの最後に収録して、その日のうちにアップしているそうですね。誰もが知っているような曲もたくさんあがっていて、この曲でこんなダンスができるんだっていう、発見と感動を感じられます。


ayumugugu:僕たちがこのコンテンツを作る以前って、日本語の曲で踊るのって結構タブーな感じだったんですよ。やっぱり海外のヒップホップやR&Bやファンクとかの楽曲を使うのが当然ですし、日本人の楽曲がクラブで流れることはなく、ましてやバトルとかコンテストはもってのほかでした。でも僕たちは日本人のアーティストが好きだし、良いアーティストはたくさんいますよね。だから、「もう好きな曲で踊ればよくない?」って感じで始めましたし、誰かがやらないと道はできないよねって。


yurinasia:本当そうだね。私たちはそこに違和感はなかったし、やっぱり好きな曲で踊るのが最高に気持ちいいよね。自然なことですよね、日本人が日本語の曲で踊るのって。
しかも、今ではクラブやダンスイベントのDJタイムでも私たちが動画で使った楽曲をかけていたりするから、そういうところでこの活動を続けてきてよかったと思いますし、もう辞められなくなりましたよね。


──そういう意味では、ひとつのシーンを作ったといっても過言ではないですね。見る側はとっても楽しいですが、生徒さんたちにとっては大事なアピールの場所でもあるのではないですか?


yurinasia:そうなんです。毎回、何の楽曲が課題になるかは当日にならないとわからないから、衣装を複数準備してくる子もいますし、自分の好きな曲が課題だといつも以上に頑張る子もいます。頑張って初めて動画のメンバーに選ばれて涙する保護者さんもいらっしゃいますし、生徒たちにとってこの動画は一つの大きなモチベーションになっていますね。

yurinasia (振付師本人) : 米津玄師 さよーならまたいつか! 『虎に翼』

──コンテストやバトルとは違いますが、ダンス動画に出ることも大事なプロセスのひとつというわけですね。それは金魚公園も同じなのではと感じます。1年間頑張ってきた生徒さんの中から24名が選ばれているわけですから。yurinasiaさんはもちろんですが、生徒さん一人ひとりにも注目してライヴ全体を楽しんでほしいですね。


ayumugugu:そうですね。今、絶賛リハーサル中ですが、みんなで最高のショーに仕上げていきたいと思います。来たことある方にはもっとヤバいものをお見せしたいし、来たことがない人にはぜひ一度見ていただきたいと思います。きっとダンスのイメージが変わると思います。


yurinasia:振付師として、何の制約もなく自分のやりたいことを120%表現できるのがこの金魚公園です。初めて見た方にも突き刺さる何かが絶対あると思いますので、ぜひ気軽に、私たちのライヴにお越しいただけると嬉しいです。

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LIVE INFORMATION

jABBKLAB TOUR 2025
〜金魚公園 福岡〜

2025年2月24日(月・祝)
Zepp Fukuoka

PROFILE

jABBKLAB

福岡県水巻町の公民館を拠点とするダンススポット。2011年頃より、当時10代のyurinasiaが公民館での前講師の生徒を引き継ぐかたちでスタート。2014年、yurinasiaの結婚・妊娠を期に夫のayumuguguが代表となる。ハイレベルかつ個性を磨くレッスンと、ダンススクールの域を超えた家族のような信頼関係により、全国のコンテストで優勝する数多くのダンサーを輩出する。2018年頃から、ayumuguguが撮影してSNSにUPするダンス動画「通称yurinasia動画(またはjABBKLAB動画)」が話題となり、国内外から振り付けや出演のオファーが寄せられるようになる。2022年からjABBKLABの単独ツアー「金魚公演」を実施し、2025年2月からは福岡と東京を回る「jABBKLAB TOUR 2025〜金魚公園〜」を開催する。


yurinasia
福岡県出身在住のダンサー・ダンスインストラクター・コレオグラファー、JAPAN DANCE DELIGHT FINALIST他、数々の受賞歴を持つ。2019年頃より毎週金曜日にYouTube投稿されるダンス動画が話題となり、振り付けやアーティストのMV出演などのオファーが寄せられる。夫でブレイクダンサー・映像作家のayumuguguとともに「jABBKLAB」を主宰。2023年よりNHK Eテレ『ゾンターク〜おどりのほし〜』にレギュラー出演し監修も務めている。コレオグラファーとしての代表作には、Snow Man『ブラザービート』、連続テレビ小説『虎に翼(NHK)』OP、実写版ドラマ&映画『推しの子(Amazon Prime Video)』B小町などがある。
https://www.yurinasia.com/

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