この先もずっと、自分が音楽でできる役割を果たしていきたい。

矢井田 瞳

取材/文:前田亜礼

この先もずっと、自分が音楽でできる役割を果たしていきたい。

<<この記事は、BEA VOICE2020年12月号に掲載したものです>> 



「やっと会えたねー」。10月末に行われたデビュー20周年リリースライヴ『Sharing』では、晴れやかな笑顔を見せ、オーディエンスを前に熱量の高いステージを披露した矢井田 瞳。節目を飾った11枚目となるオリジナル・アルバム『Sharing』は、カヴァー曲や初めて提供を受けた曲なども交えた全9曲を収録。制作前の1年余りは、ヴォーカル・デュオの高高-takataka-と共に、アコースティックギターと歌の世界に向き合ってきた彼女。今作は、彼らやGAKU、バンド・メンバー…音楽愛を共有してきた仲間と培ってきた“今のヤイコの音楽”が最大限に表現されている。

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「前作、前々作がセルフ・カヴァー作品だったので、久しぶりのオリジナル・アルバムなんです。今どんな自分を通して音楽で何を表現したら、いろんな人の日常に寄り添えるかということを軸にして、もっと自由に、その曲々が呼んでいる音を求めていった作品です」。


バンドでリアレンジした疾走感溢れる『いつまでも続くブルー』に始まり、リモートの短期間で作り上げた胸に響くメッセージ・ソング『あなたのSTORY』。続く高高-takataka-のカヴァー曲『It’s too late?』は「聞くたびに“よし、がんばるぞ”って燃えるし純粋に好きな曲。高高とは性別も年齢も違うけれど、その曲が持つ核心の部分は共有できたかな」と微笑む。中盤はちょっぴりシニカルな視点で描いた『かまってちゃん。』でフックを効かせ、20周年イヤーだからこそ原点に立ち戻った関西弁混じりの楽曲『ネオンの朝』がヤイコらしさを引き立てる。


後半は躍動感たっぷりに、自身が奏でるティンホイッスルなど多彩な音色を取り入れながら広い世界観を表した『はだしのダイアリー』、自然体で生まれたGAKUとの共作『きっとJust fine』と続き、エンディングへ。


「今作は内でなく外に向けたものにしたかったんです。“Sharing”には分け合う以外に役割という意味もあって、自分が音楽でできる役割をこれからも探して果たしていきたい、そんな決意も含んでいます」。


雲間から光が射すように、エネルギーに満ちた楽曲が気持ちを上向きにさせてくれる、ヤイコの音楽。再びライヴで会えるその日まで、友人のようにそばにいて、あなたを優しく包み込んでくれる。

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RELEASE

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Album

2020年10月14日発売
青空レコード / VAA

1.いつまでも続くブルー(Yaiko Band ver.)
2.あなたのSTORY
3.It's too late?
4.Gradation
5.かまってちゃん。
6.ネオンの朝
7.はだしのダイアリー
8.きっとJust fine
Bonus Track
9.あなたのSTORY(Yaiko Band ver.)