核にあるのは、悲劇、直感、白い心。
静かにかき鳴らす新たなエナジー。
Chilli Beans.
取材/文:モリカワカズノリ
INTERVIEW

4月30日に新曲『tragedy』をデジタルリリースしたChilli Beans.。ベースの進行やコーラスワークが美しく、バンドのどの楽曲とも違う“かっこよさ”を纏った最新作だ。4月から放映しているモード学園の新テレビCM「ぜんぶやっちゃえ」篇のCMソングとなり、すでにライヴでも披露されている。楽曲に込められた想いや5月31日からスタートする全国ツアーについて、Moto(Vo)に語ってもらった。
──早速ですが、新曲『tragedy(トラジディ)』、非常にかっこいいですね。タイトルは直訳すると「悲劇」という意味ですよね。具体的にどのようなテーマで制作されたのでしょうか?
Moto:ありがとうございます。このタイトルは、実はデモの段階からついていたものなんです。この曲の元はLilyが作っていて、学生の時や今も抱いてる夢を持った時に知る現実を悲劇「tragedy」って表したいと言っていたので、そこから自分の感情と状況を重ねて制作を進めていきました。
──確かに、青春時代特有の感情ですね。
Moto:そうなんです。そして、そういう感情って、大人になっても、何か目標を追いかけている時とか、ふと感じることがあると思って。だから、そういう普遍的な感情を、表現したいなと。
サウンド面でも少しnoisyな感じでジリジリさせたりして心の中のどうしようもない部分を表現しています。
──学生だけでなく、社会人など、多くの人が共感できる感情が込められているんですね。
Moto:自分の持っている素敵なものには、なかなか気づかなくて、人の持っているものが羨ましく思えたりする事があると思います。そういう気持ちって、学生に限らず、何歳になっても、誰にでもあると思うんです。だから、この曲は、そういう感情に寄り添える曲になったらいいなと思って作りました。
──英語も効果的に入っていて、歌詞の世界観がスッと入ってきますね。今回、歌詞はどのように仕上げていったのですか?
Moto:今回は、デモのメロディーを聴いて、すぐに歌詞のイメージが湧いてきました。なので、スムーズに歌詞を書けた方だと思います。
──イメージが湧いて、一気に書き上げた感じですか?
Moto:そうですね。サウンドからもイメージが湧いてくるので、そこから表現したい言葉を選んでいきました。
──制作する上で苦労した点や、こだわった点はありますか?
Moto:苦労は特になかったのですが、あえて言うなら、聴いてくれる人が、少し笑えるようなユーモアを加えたところですかね。
──ユーモアですか。
Moto:はい。例えば、歌詞の中に、「どーしちゃって こーなっちゃってんの私?」みたいな、ちょっとおどけたような、シリアスになりすぎない部分も入れたりして遊びました。
──なるほど。楽曲のアレンジも非常に印象的です。特に、ベースラインがすごくカッコいいなと思いました。どんなイメージでサウンドは作られたのでしょうか?
Moto:アレンジに関しては、私自身というよりは、Lilyが主導になって作っていきました。インディーロックでもありpopさもある、少しざらっとした質感というか。
──そしてヴォーカルもたまらなくカッコいいですね。ヴォーカル面で、何か工夫した点はありますか?
Moto:ヴォーカルに関しては、私は曲ごとにイメージを変えて歌っていて。
──なるほど。
Moto:曲ごとにイメージの子がいて、その子が表現している感覚です。例えば『tragedy』だったら無関心な女の子がこの世界に何か言ってる。みたいな感じで、曲ごとに自分とは違う別のイメージの子がいます。
──具体的な人物像ですか?
Moto:もちろん、はっきりとした輪郭があるわけではないんですけど、例えば、怒っている感じとか、悲しんでいる感じとか、そういう感情表現に合わせて、声色とか歌い方とか、細かいニュアンスを変えたりしています。
──では、『tragedy』はどんなイメージですか?
Moto:この曲は、自分の心が真っ白で、そこに色んな感情が流れ込んできて、ぐちゃぐちゃになっている、みたいなイメージ。この世界に色が無かったら、感情の起伏とかも無くなるんじゃないか、みたいな。
──なるほど。なかなか言葉では表現しづらい部分だったかと思いますが、わかりやすく教えていただきありがとうございます。
あと今回、モード学園さんのCMソングという依頼があったとのことですが、制作にあたって、モード学園さん側から何かオーダーはありましたか?
Moto:モード学園さんからは、特にはなかったんです。本当に自由に作らせていただきました。
──そうなんですね。
Moto:CMの映像を見て、そこからイメージを膨らませて制作しました。映像の雰囲気とか、色味とか、そういうものからインスピレーションをもらって。
──CMを見ると、より曲のパワーが開放されているようで、見応えがあります。MVも含めて映像作品もみなさんに観てほしいですね。
Moto:ぜひお願いします。
──さて、みなさんはツアーも控えています。5月31日からスタートする「upside down tour」です。ツアータイトルにはどんな想いが込められていますか?
Moto:直訳すると「逆さま」という意味ですが、いろんな曲があって演出なども工夫しているので、観ているみなさんがびっくりしたり逆さまの感情になったり、みたいなことができたら面白いんじゃないかなって。
──セットリストや演出的な部分も今回はこだわっていこうと?
Moto:はい。ぜひ楽しみにしていただきたいですね。
──福岡は6月6日(金)にZepp Fukuokaでのライヴが予定されています。ちなみに福岡でいつも楽しみにしていることはありますか?
Moto:ベースのMaikaが学生の頃、九州の学校に通っていたので、いつもおいしいお店に連れていってもらっています。Maikaのおかげで、福岡には、勝手に親近感を抱いています(笑)。
──それはうれしいですね。ではライヴに向けて一言お願いします!
Moto:福岡の皆さんにまた会えるのが楽しみです!一緒にその空間で楽しめたらいいなって思います!
──ありがとうございました!
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LIVE INFORMATION
PROFILE
Chilli Beans.
Moto(Vo)、Maika(Ba,Vo)、Lily(Gt,Vo)による3ピースバンド。作詞・作曲・編曲やクリエイティブまでをメンバー自らで手掛け、ジャンルに捉われず幅広い“チリビ”の世界観を作りあげ、等身大で自由に表現される楽曲やライブパフォーマンスで人気を集めている。2023年2月1日には3rd EP「mixtape」を、更に同年8月9日に4th EP「for you」をリリースし、収録曲の「Raise」がTVアニメ「ONE PIECE」エンディングテーマに決定。2025年4月30日にリリースされた最新シングル「tragedy」は、専門学校 モード学園(東京・大阪・名古屋)の2025年度TVCMソングに決定。5月31日からは全国7都市8公演を巡るツアー「upside down tour」の開催を予定。