『New Neighbors』[DISC REVIEW]

Homecomings

『New Neighbors』[DISC REVIEW]

Homecomingsの源泉に上がる飛沫
バンドの根幹をなす意志に貫かれた5thアルバム

前作『MOVING DAYS』からほぼ2年ぶり、通算5枚目、メジャー移籍後2枚目となるフルアルバム。岸田繁(くるり)がストリングスとピアノのアレンジに参加した『光の庭と魚の夢』ほかメジャーなタイアップのついた曲も複数含むが、本作で増幅したのはそのポップネス以上に澄明感。作品を通底するバンドとしてのテーマやアティテュードには、混じり気もブレも一切ない。ギターロックやネオアコ、グランジ~オルタナを経たUSインディー、ニューウェイヴやサイケといった豊かな源泉の飛沫を上げるように、しなやかでみずみずしくも凄烈かつ尖鋭的なアンサンブルを構築している。『WHALE LIVING』(3rd)以来全編日本語詞となった福富優樹のリリックには、沈静化されていない歪なままの(他者のために都合よく整えられた「物語」とは別の)“かたられるべきもの”が数多あり、それを発する畳野の歌声は細胞の一つまで見透かせるほど澄んで、共に口ずさめばどんな小さな声すら受け止め融け合い、たったひとつの歌の色(情景)を描き出す。イラストレーター・サヌキナオヤ と共に京都みなみ会館から始めた(たぶん彼らにとってとても大切な)映画と音楽のイベント『New Neighbors』のタイトルをそのまま冠したのは、本作がバンドの根幹をなす意志──《We will continue to be allies》(『US / アス』)──に貫かれているからでもあろう。聴いているうち、感情が身体からあふれるように解放されていくのがわかる。そして終盤3曲に至って、本作にちりばめられているあらゆる符号が合致し扉が開く感覚があった。瞬間、気づいた。あぁわたしは、泣きたかったのだ、と。それこそつまり《古い掟投げ出す 君が歌うのだ》(『ribbons』)ということなのだ。バンド史上もっとも勇敢なアルバムである。(山崎聡美)


※サヌキナオヤ:Homecomings作品のアートブレーンであり、本作ジャケットのディレクションとパペットたちのキャラクターデザインも手がけている。

Homecomings – US / アス (Official Music Video)
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Your Friendly Neighborhood Homecomings

2023年6月15日(木)
福岡 the voodoo lounge

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