『SEARCH感受YOUTH』[DISC REVIEW]

奏人心

『SEARCH感受YOUTH』[DISC REVIEW]

回転数を目一杯上げて
世界を駆けろ、突風ロック。

“奏でる人の心”と書いて、奏人心(そうとしん)。
福岡在住、19歳。今春、高校を卒業したばかりの男女混成3ピースだ。
地元のテレビでも特集を組まれたりしていたので、見たことがあるという人もいるかもしれない。
「福岡のバンドであることに誇りを持ち、福岡を拠点に、福岡から世界を射ち落とす」
そんな彼らのスタイルは<突風ロック>と呼ばれ、にわかに注目され始めている。

スタイルとしては、パンク/オルタナ色の強いロックンロールか。
ファストな8ビートを主軸に、“混じり気のない初期衝動”を飾らない言葉で、一気に爆発させていく。
本作は、そんな彼らの初レコーディング作品。タイトルの読みは<サーチカンジュース>。
王道路線のM-1(11月1日にリリースした1st配信シングル『昼でも星は光って』)をはじめ、
クールでユニークな構成が耳を惹くM-2。
シャウトする言葉の奥に詩的な世界観を含ませたM-3、M-4などは、
どことなくandymoriにも近いセンスを感じて、4曲4様、興味深い。

ってか、直アンなのかな?!(でもって、おそらく一発録りだと思うのだけど)
バランスやら何やら、最近はおしゃれに整理されすぎてるバンドが多いので、
こんなふうに“素材重視!だから、その良さを、まんま真空パックしましたよ!”
みたいな音に出会うと本当にワクワクしてしまう。

聞くところによれば、レコーディングは清川のUNKNOWNにて。
『昼でも星は光って』のMVにも出てくるライブハウス、Uteroの上階にあるスタジオだ。
そして、そのプロデュース&エンジニアを務めたのは、
non-commital=PANICSMILE/IRIKOのギター・中西伸暢氏とのこと。なるほど!どうりで。
流行りに惑わされず、己の好きなもの、好きなコトをとことん貫く、この姿勢。
まさに福岡という街に息づく音楽的遺伝子の、ひとつの系譜の鳴らし方だろう。

ちなみに本作、税込499円……え?(もう一度確認したけど、まちがいなく)499円?!
しかもサブスク、配信は一切しないとのことなので、気になる方はぜひ、CDショップか、ライヴハウスへ!
まだ何者でもない者だけが持つ、畏れ知らずの蒼さと強さ──
いずれにしても、彼らの登場で、
日本のロックシーンがますますおもしろくなってきたことだけは、間違いない。
(なかしまさおり)

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PROFILE

奏人心

19才の3人。永松有斗夢(Vo,Ba)、山路あげは(Gu,Vo)、今橋一翔(Dr)。 飾らないけど詩的な言葉と激しいビートでシャウトする福岡の突風ロックバンド。結成半年後に九州朝日放送「高校生のじかん」で特集され、ライブハウスでのワンマンを成功させ、同番組のテーマ曲に大抜擢!番組のフェス「ハイスク祭のじかん」JR九州ホールにも出演し、さらには俳優・ミュージシャンの石橋凌が審査委員長を務める福岡県高校軽音新人コンテストでグランプリに輝き、高校生のトピックとなる。 2024年10月「FM802 MINAMI WHEEL2024」に出演。“福岡のライブハウスの遺伝子を持ってきたので、それを感じてもらえたらと思います”というMCとともに、アッという間の35分!灼熱のLIVEを展開!全出演者の中で一番無名にも拘わらず、いきなりのダークホースとなる。 福岡、広島、宇部で立ち上がりつつある10代のロックバンドのムーヴメントの中心的バンドのひとつとして注目されていて、2024年11月1日にファーストシングル『昼でも星は光って』をサブスクでリリース。11月13日にはファーストEP『SEARCH感受YOUTH』をCDで発売。ネット上に情報のない突風のようなインディーロックバンドが徐々に姿を現しはじめてくる。 福岡在住で、福岡のバンドであることに誇りを持ち、福岡を拠点に、福岡から世界を射ち落とす。 奏人心は奇をてらうことや、情報にふりまわされることもなく、今日も福岡のライブハウスのステージにあがっている。