『少年少女』[DISC REVIEW]
銀杏BOYZ
COLUMN
銀杏史上、最もポップでエモい
ボーイ・ミーツ・ガールの大傑作。
いつもと変わらぬ退屈な夏休み。
たまたま学校に集まっていた中学生36人が、突然、建物ごと異次元へと放り出された。
理不尽な現実に憤る者、
悲観する者、
楽しむ者
…それぞれに反応は違うが、峯田には、きっとわかっていたのだと思う。
その誰もが<きれいなひとりぼっちたち>であるということを──。
漫画家・イラストレーターとしてカリスマ的な人気を誇る江口寿史がキャラクター原案を手がけたオリジナルTVアニメ『Sonny Boy』。
その主題歌として書き下ろされたのが『少年少女』だ。
しゅわしゅわと湧き立つような疾走感あふれるサウンドに乗せ、
“ながい渡り廊下”
“七色の傘”
“アイスクリームとけた屋上”など、
次々と解き放たれていく生命の気泡。
もちろん、銀杏には他にも数多くのボーイ・ミーツ・ガールの名作があることは重々承知の上で──
それでも、2020〜2021年の失われた夏、
その刹那性という意味においては、
この曲を超えるエモさを私は知らない。
そういう意味でもより広く、
より多くの“少年少女たち”(および“かつて少年少女だった大人たち”)へ
響いてほしい1曲だ。
(なかしまさおり)
- SHARE