今作は自信作!
新しい銀蝿として今回のライヴを捉えてもらいたい。
T.C.R.横浜銀蝿R.S.
取材/文:荒木英喜
INTERVIEW
2023年5月、電撃発表されたJohnnyのT.C.R.横浜銀蝿R.S.への復活。さらに10月18日にはオリジナル・アルバム『ぶっちぎりXI Vintage 3』のリリースも伝えられた。オリジナル・メンバーである、翔、Johnny、TAKUの3人がこのアルバムのために書き下ろした曲とは?この作品を携えて行う全国ツアー“ロックンロールロード2023 Johnny Come Back! Vintage 3”はどんな内容になるのか?翔とJohnnyに話を聞いた。
──まずはJohnnyさんが社長を辞してまで、復活を決めた経緯を教えてください。
Johnny:去年の4月、嵐さんの生誕祭ライヴがあったんですが、ステージ袖で嵐さんから「銀蝿はオマエが居ないとダメなんだよ。ずっと一緒にやろうよ」って言われたんです。その時は横浜銀蝿40thが終わって裏方に戻ったばかりだったので「また機会があれば」って受け流したんですが、3ヶ月後の7月に嵐さんが亡くなり、この会話が最後になってしまって…。それが遺言のように残っていて、その思いに応えたいと思ったんです。嵐さんとは3つしか変わらなくて、俺も今65歳でいつまで元気に過ごせるかわからない。それに、30歳から俺は裏方にまわって、若い子たちに俺たちが見た景色を見せてやりたいと思って一所懸命にやってきたのと、これからは自分のために音楽をやってもバチは当たらないかなって。ただ、期間限定だった横浜銀蝿40thを終えて社長業に戻ったばかりだったので、色々な事を調整するために1年近く時間がかかってしまいましたが、今年6月の株主総会で社長を辞任し、今年の11月のZeppツアーからは横浜銀蝿のメンバーとしてバンド活動に専念していきます。
翔:嵐さんとJohnnyがそんな話をしていたなんて知らなかったです。俺はJohnnyと高校生から一緒にバンドをやってきて、横浜銀蝿をやり、そして65歳からまた一緒にやれるってなった時は嬉しかったです。新生・銀蝿がスタートするわけですね。
──新生・横浜銀蝿というスタンスだから、3人で全曲書き下ろしたんですね。
翔:そうです。制作期間は2〜3ヶ月ですね。一気に作ってレコーディングしました。『Vintage 3』ってタイトルは、いいオヤジになってきてヴィンテージ感あるアルバムを作りたかったから。でも「ただ40数年やってきました」って言うんじゃなくて、もう1回、一から銀蝿の音楽を作りたいと思ったんです。そうしたら、不思議なことにロックンロールやブルースだったり、バラードだったり、なんちゃってフォークみたいなのもできたりして。『Vintage 3』を作ろうとする俺たちの感覚にハマったというか、Johnnyを含めた新生・銀蝿のために一から曲を作ることで、それぞれにスイッチが入った感じですね。とてもいいアルバムになったと思います。まぁ、言ったもん勝ちなんだけど(笑)「本当にいい作品にならなかったら、アルバムは出さない」っていうのが、横浜銀蝿の基本スタイルなんで。曲を持ち寄った時に「今回はいいアルバムになる」って直感があったし、最初のアルバム『ぶっちぎり』や2ndアルバム『ぶっちぎりⅡ』を超えたんじゃないかとマジで思ってます。
──どんな思いで曲作りをしたんですか?
翔:今はサブスクとかが流行ってるけど、俺はCDを買ってもらいたいって気持ちがすごくあって。俺たちが昔レコードを聴いてた頃みたいに、歌詞カードを見ながら聴いてほしいんですよね。あとはアルバムは1枚を通して物語がないといけないと思うから、オープニングとラストは特に意識しました。1曲目の『Ooah!』はライヴのコール&レスポンスをイメージしながら作ったし、最後の『Like The Rolling Stones』は俺たちが43年やってきた中で感じたことや出来事を振り返ってます。なんで、中盤はJohnnyとTAKUに任せたんだけど、そしたらTAKUはバラードを持ってくるし、Johnnyからは“イケおじ”みたいなヤツが出てきて(笑)。ちなみに、今回のリード曲は2曲目に入ってるJohnnyの『Yokohama IKEOJI Rock’n Roll Band』なんだけど、どうしても一発目は『Ooah!』しか考えられなくて。『Ooah!』と『Yokohama IKEOJI Rock’n Roll Band』はセットみたいな感じだし、「これでスタートしたらいいじゃん!」ってことでこの並びになりました。
Johnny:俺は今感じていることを書きました。今の日本って暗いことが多いじゃないですか。コロナや円安で物価が上がったり、年金のことだったり。それでめげてる部分があると思ったから、「俺たちの曲で楽しくなろうよ!」って元気づけたかったんです。それで『Yokohama IKEOJI Rock’n Roll Band』は、「自分で言っちゃうけど、俺たちイケてるイケおじじゃん」って(笑)。『T.H.P.』は、「やっとコロナが明けてみんなで飲みに行ける時代になったから、みんなで盛り上がろうよ!」と。『晩春謳歌』は65歳を超えてますけど、若さって年齢じゃなくて、心のあり方じゃないですか。だから、終わりかけかもしれないけど、まだ青春の真っ只中。「気持ちさえめげなければ、いつまでも青春。50歳、60歳になっても夢を持つことは大切じゃん」って、今感じていることをそのままストレートに書いた感じですね。
──ラスト『Like The Rolling Stones』は、翔さんの生き様が綴られています。
翔:たまたまなんですけど、レコーディング中にストーンズ(THE ROLLING STONES)が18年ぶりのアルバムを出すって聞いたんです。ミック・ジャガーとか80歳だけど、やっぱりカッコいいじゃないですか。単純にオマージュじゃないけど、ローリングストーンズみたいにカッコよく生きることをテーマに書こうと思って、今までやってきたことを書き出したらどんどん歌詞が湧き出てきて、フォークソングみたいになっちゃった(笑)。嵐さんのことも書いてるけど、65歳にもなると仲間が死ぬんですよ。そういうことがあっても、それを乗り越えてソイツの分までじゃないけど、たまに思い出しながら前に進んで行くしかないかなと。
──11月から全国6ヶ所のツアーが行われます。どんな内容になりそうですか?
翔:福岡は外せない場所。また一緒に盛り上がりたいですね。セットリストは今考えてますが、『Vintage 3』から全曲やろうかなと思ってます。もちろん、旧譜もやりますよ。CDをそのままやろうと思ったら、Johnnyから「たまにはヒット曲を挟もうよ」って言われたので。それくらい今作を中心にしたライヴにしようと思ってます。
Johnny:40thのツアーはお祭りだったので、10代の頃から聴いてくれたファンが来て楽しめるようにいろんな曲をやりました。でも、今回は気持ちが違って、もう一度今の銀蝿を見てもらいたいという思いがあるし、『Vintage 3』には今俺たちが一番伝えたいことや思いが入っているから全部聴いてもらいたい。これからの銀蝿の生き方というかスタンスをライヴで見てもらいたいですね。40thで俺が戻ってくるまでサポートだったJackくんも入って、これからは5人体制になります。ダビングでレコーディングした部分とかはJackくんが入ることで、より再現性が高まるかな。ギターが3人になる分、翔くんの身振り手振りが増えると思います(笑)。
翔:そうなんですよ!イエーイって手を挙げたいのに、弾かなきゃいけなかったから(笑)。JohnnyとJackの2人のアンサンブルもいいですよ。
──最後にメッセージをお願いします。
翔:先ほどの繰り返しになりますけど、『Vintage 3』を中心にライヴをやりますし、旧譜もやります。新しい銀蝿の形として今回のライヴを捉えてもらいたい。めんたいロックを生んだ福岡にもっともっと横浜銀蝿を伝えたいんですよ。今回のアルバムは自信作なので、是非見に来てもらいたいですね。
Johnny:前回来られなかった人もコロナが5類に移りましたし、是非お時間ありましたらイケおじを見に来てください(笑)。
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LIVE INFORMATION
PROFILE
T.C.R.横浜銀蝿R.S.
1979年9月21日、嵐(Dr)、翔(Vo)、Johnny(Gt)、TAKU(Ba)の4人でTHE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIALを結成。その1年後、シングル『横須賀Baby』とアルバム『ぶっちぎり』の同時リリースでデビュー。数々のヒット曲を連発し、音楽シーンを席巻した。デビューからわずか2年で日本武道館ライヴを成功させるが、1983年12月31日をもって惜しまれつつも解散。その後、幾度かの復活を遂げてきたが、2022年7月にリーダーの嵐が死去。嵐との最後の会話をきっかけにJohnnyが復帰することを決意。2023年10月リリースの『ぶっちぎりXI Vintage 3』とともに、横浜銀蝿がまたかっ飛ばす!