メジャー5周年。
新作EPと感謝を握り締め、日本列島を北上
ネクライトーキー
取材/文:モリカワカズノリ
INTERVIEW

2025年、メジャーデビューから5周年を迎えたネクライトーキー。現在、周年を記念して5大トピックスを展開し、内容は順次公開中。その1つ目のトピックスが、待望の新作リリースだ。3月26日に配信リリースとなったEP『モブなりのカンフー』は、疾走感あふれるロックチューンからミディアムチューンまで、ネクライサウンドの真骨頂が詰まった4曲入り。今回は、そんな新作EPについて、もっさ(Vo,Gt)と朝日(Gt)の2人にインタビュー。各楽曲への想いや、5月からスタートする全国ツアーなどについて話を聞いた。
──5周年記念EPのリリースおめでとうございます。どういったテーマで制作された作品になっていますか?
朝日:実はテーマというものはなく。5周年記念と言いつつ、この曲のどこが5周年なんだろうという(笑)。でも、とにかく今自分が一番新しく作りたいものを作ろうという一心でやりました。
──1曲目のリード曲『モブなりのカンフー』はかなりインパクトがあります。EP全体の勢いを感じる楽曲だと感じました。この曲を軸にEPを作っていこうと?
朝日:実は2曲目の『そういうものでしょう?』を表題曲にしようかみたいな話もちょっとあったのですが、一番ライヴで演奏する機会が多そうなパーティーチューンを表題曲にという感じで、この曲を選びました。
──疾走感のあるメロディーとキャッチーなサビがクセになりそうです。どのようなイメージで作りましたか?
朝日:自分の中の“やっちゃいけないライン”って、人それぞれあると思うんですけど、すごく自分がわかりやすく(指標に)しているのは、普段よく漫画を読むので、漫画にこういうキャラがいたら嫌いになるなみたいな。自分のそういう感情の基準みたいなものを普段から考えてはいるけど、それを歌にしたことはなかったので、今回はそれをテーマに曲を作ってみようと思い、こういう形になりました。
──しかもモブキャラにフォーカスした内容になっていますね。朝日さんは主人公ではないキャラに感情移入するタイプですか?
朝日:全然どのキャラでも感情移入できるんですけど、やっぱり主人公じゃなくて、モブというか名前もないキャラクターがなぜか心に残ることは多いですね。
──カンフーというテーマも面白いですね。
朝日:シンプルに素手で戦うキャラが好きなだけで、カンフーに限らずそういう格闘技はいくらでもあるんですけど。でも小細工じゃなく、自分の手だけで道を切り開いていけるというスタイルがすごくいいなって。いろんなモノを失ったとしても、自分たちの力だけで道を突破していける、そういうバンドになれたらいいなという思いで、カンフーというテーマを選びました。
──ちなみに、制作中にインスパイアされた漫画作品などはありますか?
朝日:いろいろありますね。『寄生獣』とか『HUNTER×HUNTER』とか『ジョジョの奇妙な冒険』とかは、主人公以外のキャラも大好きで。敵にもモブにもドラマを感じさせてくれるので、このあたりの漫画をイメージしながら歌詞を書きました。
──歌詞の中の「ステゴロ」というワードも印象的ですしね。
もっさ:私は普段使う言葉ではなかったので、最初あんまりピンときていませんでした(笑)。でも良いアクセントになっていますよね。
──ぜひ歌詞の世界観も注目して聴いてほしいですね。加えてメロディーも非常にキャッチーです。アレンジはどんなイメージですか?
朝日:明るい中にもちょっと不穏な感じが見え隠れするようにしたいなと思って、意図してテンションコードを多用していますね。バトル漫画の冒頭みたいでいいなって。
──ギターのイントロもかっこいいですね。
朝日:もっさが新しいギターを買って、それがめっちゃ良い音だったのでイントロを弾いてもらいました。
もっさ:この曲では結構、私は頭から最後までずっとバッキング(ギター)をひたすらやり続けているので、それはそれはたくさん弾かせていただきました(笑)。
朝日:結構コードバッキングを指でちょちょって指を動かす感じでフレーズを作るのって、10代でも弾きやすいかなっていう(笑)。
もっさ:確かに、コピーしやすいかもね。
朝日:そうそう。基本的に、リードギターとバッキングギターが分かれているバンドって多いじゃないですか。でも、一本のギターでその両方を成立させるような曲が弾けると、個人的にテンション上がるんですよね。だから、10代とかギターキッズも覚えやすいし、どんどん弾いてくれたらなって思いながら作ってみました。
──いろんな人に弾いてもらいたいですし、ライヴで聴けるのも楽しみです。2曲目の『そういうものでしょう?』はすでにライヴでも披露されている曲ですね。1曲目とは違い、テンションはそこまで高くないけど、気持ち良く聴けるミドルテンポの曲となっています。
朝日:そうですね。スローバラードってわけでもなく、散歩にちょうど良いくらいのテンポ感の曲ですね。曲のアレンジとしては、あんまり熱を上げすぎず、日々が続いているような雰囲気を出したいねってメンバーとは話をしてて。でも、その中でもちょっと良いメロディーが入ってるぜ、みたいな雰囲気にもなればなと。
でも、最後、ちょっと我慢できずにジャーンっていうパートはあるんですけど(笑)。ドラムは最後まで何もしないくらいでいこうと話していたんですけど、やっぱり音楽を作るにあたって、ある程度のダイナミクスがいるよねってことで、バランスを見ながら抑揚をつけた感じですね。
──そういう意味では、音のコントラストが違和感なく心地良い雰囲気です。
朝日:バラードとかミディアムナンバーでも、サビになったら結構ジャーンって感じで、そこでダイナミクスの大きいところを持ってくるパターンが多かったんです。でも、サビでスンって静かになるというパターンは、ネクライトーキーではやったことがないので、そういう意味ではチャレンジ的な曲でもありますね。
──ライヴでのお客さんの反応はいかがですか?
もっさ:わかりやすく盛り上がってるわけじゃないんですけど、結構サビとかでみんな心地良さそうに、ちゃんとリズムに乗ってくれているムードは感じますね。ネクライトーキー的には、あんまりこういう曲の印象がないと思うけど、それでも、ちゃんと味わってくれているんだなって感じることが多いですね。
──なるほど。ライヴでのアクセントとして重要な曲であると言えそうですね。さて3曲目の『怠惰でいいナ』は、もっささん作詞作曲の楽曲です。こちらの楽曲も良いテーマですね。
もっさ:前回のアルバム『TORCH』で自分が作った曲が結構ピリッとしていて。当時は、かなり気合が入っていて、その分ピリピリとしたムードの曲になったので、今回はちょっと一旦落ち着いて、肩肘張らずにゆるい曲を作りたいなぁと。
──歌詞もそうですし、曲調も可愛らしくて、ライヴではお客さんが参加できそうなフレーズもあります。
もっさ:そうですね。ツアーのことをなんとなく考えて、お客さんの声を聞きたいなという気持ちがあったから、一緒に歌って楽しんでほしいですね。
──朝日さんは、この曲を聴いた時どんな印象を持ちましたか?
朝日:ゆったり乗れる感じの曲ってそんなに多くなかったので、やっぱり自分と違う視点の曲が入ってくるのは良いなと思ったのと、サビをサビらしくさせるのが好きなんだなと。『TORCH』でもっさが作った2曲のうち、1曲はサビ転調で、もう1曲はサビでリズムを変えてるんですよ。だから、サビでハッとさせるのが得意なんだなと。
もっさ:そんなつもりないんだけどな(笑)。
朝日:そうなんだよ。サビなんてハッとすればするほどいいと思っているので、そういう意味でもとても良い曲なんですよね。
もっさ:めっちゃ分析されてる(笑)。
──笑。確かにゆるい感じだけどサビは力強くて、聴き応えがあります。どんなイメージでアレンジされたのですか?
朝日:相当いろいろ話し合いましたね。序盤がゆったり乗れるテンポで、2番から駆け足になっていくんですけど、その駆け足に変化するタイミングにはこだわりましたね。ドラムのリズムが変化する境目を気にしながらアレンジを組み立てていきました。
もっさ:それはかなり難しかったですね。
──その変化によって、サビがより際立っていますね。さて、最後4曲目は、既発のシングル『人生なんにもわかんねえ!』です。リアル脱出ゲーム『トラブルだらけのライブハウスからの脱出』のテーマソングですね。
もっさ:元々大好きだったので、この話をいただいた時は、今までで一番飛び跳ねてたんじゃないですかね(笑)。
朝日:ネクライトーキーのコラボものの中で一番喜んでたと思います(笑)。
──好きなモノが仕事になったという喜びですね。一聴して、疾走感のあるネクライサウンドを感じます。この曲のポイントは?
朝日:リアル脱出ゲームに登場するバンドが演奏する曲という設定だったので、ライヴで演奏するというのがわかりやすいような曲を意識しています。実際に自分たちのライヴで何度も演奏していて、かなり盛り上がる楽曲になっていると思いますね。
──MVも謎解き要素があって楽しいですね。
朝日:監督も脱出ゲームとか好きだったので、それっぽくしようかということで、ああいう愉快なビデオになりました。最後、もっさがちょっと謎解きの監修をしている部分もありますから。
もっさ:謎解きを作ったわけではないですが、最後にひと手間だけ塩を加えたぐらい(笑)。
──MVをまだ見ていない方にもチェックしていただきたいですね!最後に5周年を振り返ってみて、実感することや変わったことなどはありますか?

もっさ:周りを見れるようになったというか。それまでのライヴでは、自分の感情をただ壁にぶつけ続けているような感覚だったんですけど、今ではお客さんの反応や感情を受け取りながら、パフォーマンスできるようになっていると思います。
朝日:考えてみたら、ライヴをすること自体が謎だなって思う時が結構あるんですよ。自作のポエムにメロディーをつけて発表する。それをみんながお金を払って観に行く。それってどういう状況なんだと。だから、お金を払った分、何かを得られるぐらいのポエムにしなきゃなとは思います。僕も10代の頃はいろんな人の自作ポエムに元気付けられたので。ちょっと背筋が伸びて何かができそうな気分になりました、みたいな感想を聞くと、自分たちが誰かの生活に届いているんだなと、5年経って実感しますね。
──そんなネクライトーキーの進化したライヴが観られるツアー「ゴーゴートーキーズ!2025 北上」も予定されています。九州から北海道まで会場を北上していくというツアーです。これは、バンドの人気曲『北上のススメ』にちなんだ企画ですね。どんなツアーになりそうですか?
朝日:デビューの時はコロナ禍でツアーができなかったので、デビュー当時の曲たちをちょっとでも救えたらみたいな気持ちもありますね。ネクライトーキーの5年間を振り返りつつ、新しいネクライトーキーの曲も聴ける、すごくお得なツアーになるんじゃないかなと思います。
もっさ:そうだよね。メジャーデビューの記念すべきタイミングをコロナによって出鼻をくじかれた形になったので、せっかくメジャーデビュー5周年を祝うなら、その時の気持ちを一緒に乗せていきたいなって。
──ありがとうございました!
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LIVE INFORMATION
PROFILE
ネクライトーキー
朝日(Gt)、もっさ(Vo,Gt)、中村郁香(Key)、カズマ・タケイ(Dr)、藤田(Ba)からなる5人組。2017年に朝日が中心となり結成。2018年に1stアルバム『ONE!』でデビューすると、もっさのキュートな歌声や、シニカルな歌詞世界、やみつき必至のポップなメロディなどが話題に。2023年には、Netflixの海外アニメ「スコット・ピルグリム テイクス・オフ」のオープニングテーマ『bloom』を担当するなど、その人気を国内だけでなく世界へと広げている。2025年はメジャーデビュー5周年を記念し、3月26日に新作EP『モブなりのカンフー』をリリースし、全国ワンマンツアー「ゴーゴートーキーズ!2025 北上」の開催が決定。ほかにも周年記念の5大トピックスは順次発表! 架空のラジオ曲「NT818 NEC5(ネックファイブ)」を拠点とする自主ラジオ番組「ネクライトーキーのネクラジ!」も4月から公式YouTubeで放送中!