満を持しての1stシングルリリース
自ら問うアイデンティティーと現在地

ExWHYZ

取材/文:山崎聡美

満を持しての1stシングルリリース<br>自ら問うアイデンティティーと現在地

今夏、初のシングル作品『iD』をリリースしたExWHYZ。80KIDZやKBSNK、Kanata Okajimaといった錚々たるクリエイター陣が今作もバックアップ、4曲それぞれに強さや、今を肯定して未来を拓く意志を感じさせる作品となっている。前作の2nd EP『Sweet & Sour』から丸1年というタームには、2本の全国ツアー敢行やライヴ作品リリースといった精力的な活動と、一方では4人体制への移行という大きな変化もあった。本作のタイトルチューン『iD』に綴られているように《ピンチの数が マジで半端ない》のだが、それでも彼女たちは自らのダンスと歌でそんな状況すら蹴り上げて進んでいく。盛夏の福岡を新曲プロモーションで訪れたmikinaとmahoに聞いた。


──今回は、満を持しての1stシングルとなります。このアー写も含め、“強さ”というのがテーマのひとつでもあったのではないかと感じられるような芯の通った4曲でした。


mikina:ありがとうございます。


maho:確かに、強いですね。


──リリースして1週間ほどですが、多くの反響があったのでは?


mikina:どうでしょう…ただ、シングルでも4曲あるので、お客さんも自分の好きな曲がそれぞれにあって、その推しどころとかをSNSでアップしてくれて。歌詞のスクショとかを流してくれたり(笑)。“ここが好き”というのを言葉にしてくれているので、見てると嬉しいし楽しいですよね。


──それだけ各曲のカラーがあるということでもあると思います。タイトルチューンの『iD』はメンバー4人での共作詞に強い気持ちが溢れていたり、『SHOWTIME』なんかは私もライヴ映像を見せていただきましたが、曲の強さ、シャープさを表現したとてもキレの良いパフォーマンスを披露していたり。手応えの大きさが伝わってくるようでした。

ExWHYZ / SHOWTIME【TOUR2024 ‘HOPE’ Final at Zepp DiverCity 20241227】

mikina:この4曲の中で最初に披露したのが『SHOWTIME』で、観てくださったライヴ映像の頃は4人体制になって一発目のツアーのもので。これから4人で前を向いているところを見せます!っていう感じで、ツアーファイナルでやったんです。強気で行きますみたいなところを見せていたその1曲を皮切りに、あらゆる角度からの前向きさが詰まったシングルになったし、そういう意味では私たちがこれからも続いていくこととか、自分たちが意志を持ってやっていることをちゃんと伝えられる一作になったなって思います。曲の雰囲気もバラエティーに富んでいるので…世の中に広がっていったらいいな、と。そういうポテンシャルがすごくある気がします。


maho:『iD』や『SHOWTIME』はすごく強いエネルギーを持ってますし、『イマジン』とか『goodbye』に関しても、最終的には光を目指して前向きな感じ、と言いますか。全体を通して前向きなエネルギーはありつつ、いろんな側面をこの4曲で見せられているなとも思います。自分たちの中でも、強気な姿勢はもちろんあるけどそれだけで強くいられているわけではない、嘘のないリアルな温度感みたいなものが表されていると思うので…すごくリアルに、心を込めて、歌って届けることができる作品になりました。


──確かに、例えば歌詞を共作された『iD』の、《ピンチの数がマジで半端ない》《正直 デキナイ》《ガラクタ》といった表現は言葉自体はネガティヴですが、でもだからこそそれを蹴っ飛ばす勢いとか自分たちを奮い立たせようとしている皆さんの実感や覚悟が込められているように感じました。皆さんが紡いだ言葉やボーカルは、自分自身を解放するためのものになっていると思いますか。

ExWHYZ / iD【Music Video】

mikina:確かに、そうですね。歌詞は、メンバーそれぞれが書いたものを、1曲にまとめて完成したものなんです。他の人がどんな歌詞を書いているかは知らない状況で、一人一人で書いたので、その時の気持ち、意志みたいなものはちょっとずつ違うと思うんですけど…私は、自分の中の燃えていたい気持ちをここに残すぞ!って。そんなふうに心を燃やす感じを前に出すのって躊躇う時もあったんですが、今回は自分の中にある沸々としたものを、満を持して書けた感じがします。


──グループとして、ピンチを含め変化の多い状況の中でどんどん肝が据わってきているように、こちらからは受け取れます。アクシデントに対する適応能力みたいなものが必然的に求められているということもあるかもしれないですが、mikinaさんはその変化の波をどう受け止めています?


mikina:慣れたくないなぁとは思いつつも、たくさん起こると、適応はできるようになるじゃないですか(笑)。でもその中でも自分の意志を持つというか…本当にいろんな意見がある中でも自分を保つ、好きな自分でいられるようずっと自分を持ってやる、それでいいんだ、と。求められていることに応えようとしちゃう性格ではあるんですけど、それも自分を持ってやることが、世間一般的に見てカッコいい形じゃないとしても、それが一番いいんだっていうことをやっていく中で見つけられたから、あんまりブレなくなりましたね。昔のほうがブレブレだった(笑)。そういう意味では、今はちょっと強くなれたかなと思います。自分の言葉でしゃべるとか、嘘をつかない、っていうことを自分の中で決めていて。けっこう、カッコいい言葉とかを言いたくなっちゃうんですよ、求められると。きっとコレを言えば喜ばれるんだろうなとかを察しやすい性格なので(苦笑)…それでも、“本当にそれは、自分の気持ちか?”というところに、何回でも戻って考えていくようにはなりました。


──mahoさんは、どうですか。


maho:私自身としてはあんまり変化はないんです。それより、一つ一つを自分で選択していくこととかに対する意識が高くなっているというか。結局、後悔なく生きられるようにするためには、それをちゃんと自分で決めたかどうかしかないと思うから、そこをちゃんとしようっていう思いが、年々どんどん強くなってますね。いろんな人の人生が交わっている中で活動できていて、いろんな経験をさせてもらっていて。ここ何年かで環境が変わっていくことも多くあったけど、その中で自分がどう思っているのかを見失わないように、自分の感覚とか心を見失わないようにしよう、大事にしよう、って。結局、自分次第というか、自分自身で決めていくことが大事なんだというのを、ますます強く思っています。


──なるほど…二人とも、揺るぎない自分というのがまずあることが大きいんですね。今のお話で、『iD』がやはりグループのアイデンティティーとしての作品であるというのも実感しました。そういった思いの原動力とか糧になるようなもの、最大の喜びみたいなものもありますか?


maho:私は…何か大きな喜びがあるから、ということじゃなく、日々の中、ライヴツアーとかしている中でふと…この場所に、メンバーをはじめとするいろんな人たちが集まってるこの瞬間って、すごい…!と思ったりするんです。そういうふとした気づきとかが、なんか面白いっていうか、うん、大きい気がします。


mikina:確かに…メンバーの出身地にツアーで行ったときに、メンバーの人生を感じた瞬間があって。“ああ、ここで育って、紆余曲折があって、今ここで一緒にライヴしてるんだ”っていうことを、感じられたときがあったんです。それってたぶん、ずっと一緒にやってきて、メンバーのことを考えてる長い時間があって、自分自身の心で一緒にやっていたからこそ、感じられたことだなって思って。それでなんか、この生き方でよかったな…みたいな(照笑)。喜びとはちょっと違うけど、あ、これでよかったんだなって思えることが、大きいんだなって、今思いました。

ExWHYZ / イマジン【Music Video】

──間もなく始まる新たなツアーも楽しみですね。


mikina:そうですね。4人体制になって、やるぞ!って決めて前回のツアーをやり終えたときの空気っていうのが、自分の中ですごくしっくりきてて。それぞれが伸び伸びやりつつも、まとまりをもって、4人の意志でライヴをして楽しい場所をつくるとか、お客さんもそこに真っ直ぐに向き合って楽しんでくれているとか、その空間全体がExWHYZの在り方に合っていると思ったんです。これがExWHYZの楽しみ方だな、って。それを広げていきたいという意味でも“Wide Open”、とにかく“ようこそこの世界!ウエルカムです!”って感じで私は臨むし、その空間の精度を上げていって確固たるものにできたらいいなと思っているので、それに向けて自分の表現したいことをちゃんと形にして、いろんな色を増やしていきたいですね。


maho:前回のツアーが、メンバーそれぞれに見(魅)せ方とか楽しみ方の枠みたいなものを摑めた気がしたツアーだったんですよ。その感覚が、今回のツアーでたぶんきっと実って、身になっていくと思うから、そこを逃さないようにしたいんですよね。このツアーを駆け抜けたらもう今年が終わっちゃうので(笑)、この2025年という1年がいい年になるかどうかも摑み取っていくしかないという心持ちで、後悔しないようにやりたいと思ってます。

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LIVE INFORMATION

ExWHYZ TOUR 2025
'Wide Open'

2025年10月31日(金)
福岡DRUM Be-1

PROFILE

ExWHYZ

(イクスワイズ)

2022年6月にEMPiREメンバーで結成されたグループ。
グループコンセプトは‘Dance your Dance’。
2022年8月に大沢伸一プロデュースによるデジタルシングル『Wanna Dance』でExWHYZとしてデビュー。 同年11月2日に、国内外の様々なクリエイターが参加した1stアルバム『xYZ』、2023年4月19日に2ndアルバム『xANADU』をリリース。
5月13日にはグループ始動から僅か9ヶ月で日本武道館単独公演『ExWHYZ LIVE at BUDOKAN the FIRST STEP』を成功させた。

現在までに、大沢伸一、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)、Seiho、Shin Sakiura、篠田ミル+山田健人(yahyel)、80KIDZなどの多数のクリエイターと楽曲制作。ダンスミュージックを軸としながら自由度の高いサウンドメイキングと一体感がありながら自由に楽しめるライブは各方面から高い評価を受ける。

2025年4月5日にパソコン音楽クラブ、DONGROSSOをゲストに迎えたオールナイトライブ企画『CLUB Ex Vol.1』をSpotify O-EASTにて開催、全国11都市で開催した『ExWHYZ TOUR 2025 ‘(unfinished) odds and ends’』、8月2日LINE CUBE SHIBUYAにて活動3周年を記念したワンマン公演『ExWHYZ 3rd Anniversary Special Live ‘Our Step→Future’』全てがチケット完売となり、9月からは全国15都市を巡る『ExWHYZ TOUR 2025 ‘Wide Open’』を開催中。

年末12月27日には3周年超ファイナル及び2025年大忘年会との打ち出しで数々のアーティストを手がける音楽プロデューサーRyo'LEFTY'Miyata率いるcross-dominanceを迎えたバンドセットでの『ExWHYZ Special Live ‘Ⅰ’ -3rd Anniversary Final & Year End Party-』をKanadevia Hall (旧TOKYO DOME CITY HALL)にて開催。