ツアー“弾き語りばったり #31+ 小さい土器みつけた”開催。

KAN

取材/文:荒木英喜

ツアー“弾き語りばったり #31+ 小さい土器みつけた”開催。

9月1日、馬場俊英との共作『スマホになりたい』をリリースした。ポップなメロディに、ユーモアたっぷりの歌詞が乗る最新曲は2人の良好な関係性も感じられる名作。今作や世間をざわつかせた秦 基博との「謝罪会見」、さらにはこの秋からスタートのツアー“弾き語りばったり #31+ 小さい土器みつけた”についても話を訊いた。


──馬場俊英さんとの共作『スマホになりたい』がリリースされました。


KAN:今回は馬場くんの“MONTHLY MUSIC SHOW”のシリーズです。馬場くんは10ヶ月連続で新曲をリリースするという企画を今年3月から始めていて。1作目(『そろそろ元気だせよ』)のCDをもらった時に「毎月新曲を作るのは大変だぞ」って伝えました。僕からすると考えられないことなので(笑)。その時、馬場くんから「そうなんですよ。是非、どこかで1曲一緒にやってください」って言われて、快諾しました。その際、僕からも「配信番組シリーズ」を持ちかけました。馬場くんはなんでも丁寧に一所懸命にやりますし、とても揚げ足をとりやすい(笑)ので、僕ひとりでやるほど大変じゃないし、色々と楽しいかなと思って提案したら、馬場くんも同じことを考えていたらしく、配信番組も定期的にやることになりました。


──制作はいつくらいから始めたのですか?


KAN:すぐに曲作りにとりかかろうとしましたが、馬場くんは毎月作っているので、6月からスタートしました。ひとりで作るよりも2人だと気分的に責任は半分ですし、アイデアは倍になるので出来上がるのは早かったですね。最初に馬場くんが2曲のデモを送ってきて、曲の広がりをイメージしやすかった方を元に、馬場くんのフレーズは全部残して、僕がさらに展開させた感じです。


──馬場さんとのコラボレーションは今回で5回目とのことで、お互いの手の内もわかっていたところもあるのではないでしょうか。


KAN:最初のデモは彼から来ましたが、馬場くんは「KANさんが何とかしてくれるだろう」って感じでどんどんアイデアを出してくるんですよ。その中から「これは面白い」って僕が思ったものをピックアップして組み立てるという感じでした。だから歌詞もそんなに困ることはなかったですね。


──だからこそ、いつもの曲では使わないような歌詞が満載になったんでしょうね(笑)。


KAN:馬場くんのファンの方は、特に歌詞について「僕と一緒だからこうなった」と思うんでしょうけど、ほとんど、7割くらいは馬場くんから出たフレーズだったと思います(笑)。でも、馬場くんひとりだとこの歌詞までいかないと思うんですよ。でも、フレーズを出したのは彼なのに、イメージ的に僕のせいにしている(笑)。まぁでも、曲の歌詞ですからね。言葉をリズムへ乗せるのは僕が担当した感じです。

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──メロディも印象的でいいですよね。意識したことはありますか?


KAN:ホール&オーツです。馬場くんが最初に送ってきたデモの2曲とも「ホール&オーツをやりたい」ということだったので。でも、馬場くんは根がフォークだから、そんなにホール&オーツじゃないんですよ(笑)。以前、「ビートルズっぽく」って言われた時も、全然ビートルズじゃなかった(笑)。彼の中のそんな気持ちをもとに、よりホール&オーツっぽく僕がアレンジしました(笑)。

馬場俊英 with KAN – マンスリーミュージックショーVol.7 「スマホになりたい」【試聴MOVIE】

──新型コロナの影響が1年半以上続いていますが、それを感じさせないくらい活動されていますね。


KAN:そうでもないですよ。去年はツアー全公演が中止になりましたから。もちろん、やれることをやろうと思ってやっていますけど、去年演奏したのは配信を含めて4〜5回で、これまでの活動の中で最も演奏回数が少ない年でした。今年は1月から弾き語りライヴをやったくらいですから。


──今年は『カサナルキセキ』のリリースの際に、念願だったという謝罪会見を秦 基博さんと行われましたね。


KAN:あれは1年がかりで作りましたから。秦くんとの曲作りは、馬場くんとの3倍くらいのメールをやり取りして作りました。単純に曲を作るのではなく、ひとつのオケで2つの曲を作って、しかもアレンジも分けないといけなかったので、ものすごく細かく作っていきました。アイデアがあってもそれを整理しないと成り立たなくなっちゃう。あんなことやったのは初めてですし、秦くんじゃなきゃできなかった。(根本)要さんじゃ絶対にやらないと思うんです(笑)。「何の意味があるんだこれ?ひとりで作れよ」って言われるだけだと思うんですよ(笑)。でも、秦くんはすごく細かく「(KANさんがそう作るなら)だったら僕はここをちょっと変えます」とか、「ここを変えたくないので、KANさんの方で変えてください」とかもありました。

KAN+秦 基博『カサナルキセキ』Music Video
KAN+秦 基博『カサナルキセキ』謝罪会見& Music Video

──9月11日からはツアー“弾き語りばったり #31+ 小さい土器みつけた”がスタートします。


KAN:昨年予定していたツアーがすべて中止となりました。ツアーのサブタイトルは、WEB会員のみなさんから募集し、その中から僕となぜかずっとスキマスイッチの常田真太郎くんで選んでいます。だから、この“小さい土器みつけた”を名付けてくれた方への感謝も含めて、このタイトルでやらなきゃいけないんです。


──内容は去年予定していたものから変えているんですか?


KAN:今年1月からのライヴは、去年行うはずだった内容のままでやろうと思っていましたが、時期が変われば話すことも変わってきますし、いろいろ考えて半分くらいは変えましたね。だから、今回のツアーも去年予定していたものとは内容が全然違います。ひとりなのでバンドに比べると選曲の幅が狭くなりますが、最近歌ってない曲や初めて演奏する曲ももちろんあります。


──気になるのが、ピンクカードタイム(ステージでのトークに使用される事前アンケート)やいつもみんなで歌う曲をどうされるか、なのですが。


KAN:ピンクカードタイムのリクエストはネット上で募集し、お客さんとのダイレクト・コミュニケーションも行っています。紙からデジタルに変わっただけですね。『よければ一緒に』は、1月のライヴの時はみんなで歌うことに変わることをやりましたが、別のやり方を今考えています。みんなで歌えないからその曲を演奏しないというのは、(コロナに)負けた感じがするので、その代わりになるものを考えなきゃいけないと思っています(笑)。

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RELEASE

馬場俊英 with KAN
スマホになりたい

2021年9月1日発売
CD
1.スマホになりたい
2.(Bonus Track)お化け屋敷に花火がボ〜ン!(DEMO)

KAN+秦 基博
カサナルキセキ

配信Song

2021年4月23日発売
ユニバーサルミュージック

23歳

Album

2020年11月25日発売
アップフロントワークス/zetima

CD
1.る〜る〜る〜
2.23歳
3.ふたり
4.君のマスクをはずしたい
5.キセキ
6.メモトキレナガール
7.コタツ
8.ほっぺたにオリオン
9.ポップミュージック
10.エキストラ

DVD
Recording Documentary『58歳』

LIVE INFORMATION

KAN
弾き語りばったり #31+
小さい土器みつけた

2021年10月1日(金)
福岡ももちパレス

PROFILE

KAN

本名:木村和(きむらかん) 1962年9月24日生
1987年、アルバム『テレビの中に』でデビュー。2002年春からフランス・パリに移住し、【Ecole Normale de Musique de Paris】に留学。 Marc André氏に師事し、ピアノ科 3ème division(non-professionnelle)を修了。2004年夏の帰国後は、バンド・弾き語り・弦楽四重奏やオーケストラとの共演など様々なスタイルでの活動を展開中。好きな食べ物は冬の生牡蠣。