鳴るべくして鳴った『2020』と世界の符合
その続きは…ぜひ、ライヴハウスで!

a flood of circle

取材/文:なかしまさおり

鳴るべくして鳴った『2020』と世界の符合 <br>その続きは…ぜひ、ライヴハウスで!

 狙ったわけでは、決してない。タイトルも楽曲も、むしろ“コロナ禍以前に考えられたものばかり”。なのに、鳴るべくして鳴った。そう思わざるを得ない符合(キラー・フレーズ)がいくつも聴こえた。a flood of circleが昨年10月にリリースした最新アルバム『2020』。現在、そのツアー真っ最中の佐々木亮介(Vo,Gt)に話を訊いた。


「そもそもコロナ以前から、世の中にはロクでもないパートが山ほどあると感じていた」という佐々木。思えば、フラッド自体も“試練”や“困難”を常にデフォルトとするようなタフなバンドで、そこには「いつも何かしらの“足りない条件”があった」と振り返る。そんな中でも、2017年以降の佐々木はとくに、バンド/ソロ問わず、その好奇心の赴くまま、国境を越え、ジャンルを超え、さまざまな表現方法に貪欲にトライしている印象がある。

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ただ「隣の芝は青いもんで、バンド以外の人と出会って、コラボレーションすると楽しいし、魅力的だし、うらやましくなる時もあるんだけれど。やっぱり“バンド”っていう形に憧れて(音楽を)始めた気持ちが根強くあるんで、 “バンドで音楽を作る/鳴らす楽しさ”はずっと無くならない。とくにソロ作を経た後では“このメンバーであること”“このメンバーでライヴをやること”が自分にとっては一番大事なことだと改めて思ったし、(むしろ)そういう“バンドであることの制約”の中で、最大限遊んだり、もがいたりすることがバンドの醍醐味なんだよなって、今もそれを大事にしている」のだという。


そんな佐々木が描いた今回の青図。「ちょうど『CENTER OF THE EARTH』を作ってる辺りからかな。それまでとは違って“ライヴで力強くストレートに演奏できるかどうか”が曲作りの基準となってきた。それで、今回まずは『Beast Mode』と『Super Star』の2曲を録るところから始めて。『Beast Mode』は2020年1月までやってたツアーで録音しておいたオーディエンスのコーラスを使ってるところが超気に入ってるし、『Super Star』は歌うたびに、自分の中にいるたくさんのスーパースターが思い浮かぶ。リリースしてからは毎回(昨年10月に急逝した“赤い公園”のGt)、津野米咲さんのことを自然と思い出す…」とも。
それこそ「歌詞にコンセプトはないけど、コロナ禍以前に書いたわりには、結果的に、コロナ禍以降にも人に歌いかけたいと思える言葉が詰まってたから。(そういう)“普遍性”みたいなものが宿っていたとしたら、(それは)長く歌い続けられる良い曲ってことなのかもなと、今では思う」と、思いを馳せる。

ただ、一方で「その“基準”に準じ過ぎてもつまんなくなっちゃうから自分の中にサブ・ルールを設けた」のだという。それは「ライヴで鳴ってなくても、気にならない音なら入れてもオッケー!」というユニークなものだが、早速『人工衛星のブルース』の2回目のサビの入りのコーラス・パートで発動させた。もともとは「エンジニアの池内(亮)さんと“カニエ・ウエストのゴスペル・アルバムの声が格好いいよね!”って話をしていた」ところからアイディアが発展。「バンドの音がいなくなって、デジタル・クワイアというか、オートチューン処理をした声を多重録音。“1人ゴスペル状態”にした」という。ただ「ライヴでは、ライヴならではのアレンジで演奏している」ため、是非、音源と聴き比べてみるのも一興とのこと。

3/6(土)には福岡にてライヴが実施されるが、今年はバンド結成15周年にあたる年とのことで、まだまだこの先も、「スペシャルなリリースとスペシャルなツアー」さらには「まっとうなa flood of circleの新作アルバム」も発表されるとか、されないとか?!


何はともあれ今はまず「バンドも、ライヴハウスも、スタッフも、可能な限りの条件をクリアして、対策して、楽しい夜を生み出したいと思ってるんで、ライヴハウスで会いましょう!」

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RELEASE

2020

Album

2020年10月21日発売
Imperial Records

1.2020 Blues
2.Beast Mode
3.ファルコン
4.Super Star
5.天使の歌が聴こえる
6. Free Fall & Free For All
7.人工衛星のブルース
8.Rollers Anthem
9.ヴァイタル・サインズ
10.Whisky Pool
11.欲望ソング(WANNA WANNA)
12.火の鳥

LIVE INFORMATION

a flood of circle
2020 TOUR 2021

2021年3月6日(土)
福岡LIVE HOUSE CB
ワンマンライヴ

PROFILE

a flood of circle

佐々木亮介(Vo,Gt)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)、アオキテツ(Gt)。2006年の結成以来、メンバー・チェンジやレーベル移籍といった“傷だらけの歴史”を繰り返しながらも、不屈の精神で転がり続けているロックンロール・バンド。昨年は佐々木とアオキの“SATETSU”名義で「コロナ禍のフィーリングや緊急事態宣言下の生活の気分をリモート制作ならではの形でロックすること」を目指した『Make Money』と「ライヴハウスが元どおりに営業できるのは当分先になりそうだという、今年の冬のための冬ソング&緊張感がある世界だからこそ超チルってる曲しか入れない」設定の『SUPER CHILL』という2枚のアルバムをリリース。「テツがたくさん曲を書いてくれて、彼の音楽家としての魅力も出てるし、それぞれがやったトラック・メイキングの作家性みたいなものも出てる。(何より)普段と違うリラックスした状態だからこそ、無駄にいい曲がいっぱいできます」とのことで、今後の動きにも乞うご期待!ちなみに「インスタは始めたら続いてる。nanaは3回アップして飽きてる。今、TikTokとClubhouseを始めて、これからどうなるかわからないところ。配信ライヴもそうだったけど、やってみないと、要るか要らないか分からないので、とりあえずトライはするって感じです」と佐々木。みなさんも是非、チェックしてみてください!