Zepp Fukuokaが大熱唱。
KID FRESINO、バンドセットで魅せた多幸感あふれる夜。

KID FRESINO

文:モリカワカズノリ
撮影:勝村祐紀

Zepp Fukuokaが大熱唱。<br>KID FRESINO、バンドセットで魅せた多幸感あふれる夜。

KID FRESINO live in Fukuoka
2024年3月15日(金)Zepp Fukuoka

2024年3月15日(金)、Zepp Fukuokaにて「KID FRESINO live in Fukuoka」が開催された。バンド編成でのこのツアーは大阪と福岡で予定され、本来であれば2月に大阪で初日を迎えるはずだったのだが、本人の体調不良により延期。この記事では、ツアーのスタートとなった福岡公演の模様をレポートする。

会場となったZepp Fukuokaは超満員。数年ぶりとなったワンマンライヴに、会場周辺はすでに期待感で満ちていた。

何よりも楽しみなのが、今回はバンド編成でのライヴだ。昨年末、自身の出身地である埼玉県所沢でのライヴでも圧倒的なステージングを披露し、シーンに新たなグルーヴを巻き起こしているKID FRESINO。バンドメンバーである、三浦淳悟(Ba)、佐藤優介(Key)、斎藤拓郎(Gt)、⽯若駿(Dr)、⼩林うてな(Steelpan, MainStage)、⻄⽥修⼤(Gt)とともに、福岡のオーディエンスにもグッドバイブスを響かせてくれるに違いない。

開演定刻を迎えると、まずはバンドメンバーがステージに登場。そして静まり返った空気を破るように、石若のドラムが弾ける。呼応して次々と楽器が足され、会場のすべての注目が注がれる中KID FRESINOが飛び出してきた。軽快なイントロをじっくり聴かせると、そのままの流れで『Coincidence』へと繋がり本編がスタート。

序盤からアップテンポの楽曲を立て続けに繋げる中、いつの間にか熱いグルーヴが生まれ会場全体が自然とバウンスしていた。それもそのはず。曲が始まるごとにオーディエンスの歓声が起こるほど、セレクトされたナンバーがどれもファンにとって“秀逸”だったのだ。例えば、人気曲の『LOVE』『Arcades』『Let it Be』では、フィーチャリングアーティストのC.O.S.A.やNENE、Daichi Yamamotoのヴァースを観客が大合唱し、フロアの幸福度はムンムン。そのほか、個人的にも楽しみにしていた『that place is burning』や『Winston』をはじめとした定番のコラボ曲も数曲披露していた。ぜひ、その詳細なセットリストは大阪公演を楽しみにしていただきたい。

熟達された「KID FRESINOバンド」のスキルフルな演奏にも脱帽だ。トラックのみで歌い上げる曲もあるが、ほとんどの曲で重厚なバンドの生演奏がフロアを支配していたのだ。個人的に印象に残ったのが、『RUN』『CNW』『lea seydoux』というアップテンポなナンバー。アグレッシヴなバンドサウンドが響く中、寸分の狂いもないラップが融合し、体と心が自然と浮き上がってくるような感覚になる。特に、『lea seydoux』は、石若の軽快なドラミングとループする西田のギターリフが高揚感を高め、疾走感のあるアレンジへと昇華。全ての楽器が絶妙に重なり合い、誰もが、濃密な音の霧に包まれているような幻想的なムードを感じていたに違いない。

中には、某名曲の一節を用いた楽曲や新曲も織り交ぜた。ライヴならではのサプライズに、一瞬自分の中で時間が止まったのも束の間。聴いたことのない曲のはずが、そのパフォーマンスに引き込まれてしまったのだ。

終始シームレスにトラックが続くなか、やや落ち着いたナンバーである『dejavu』と『not nightmare』でチルな時間も聴き応え抜群。

そして、ほぼMCを挟まず一気にラストまで駆け抜けた。息をもつかせない楽曲の連打だったにも関わらず、会場全体が同じ景色を共有できた喜びに溢れていたようだった。

全曲が終わっても興奮冷めやらない雰囲気で、オーディエンスの声と拍手が続いた。その熱気に引き寄せられるように再度ステージに現れたKID FRESINO。アンコールを予定していなかったのだが、途中で歌詞が飛んでしまった『rose』を披露してくれるという。「飛んじゃった曲やります。これでまた飛んだらやばい(笑)」と言いつつ『rose』をプレイ。今度は完璧に歌い上げ、この日一番の温かい拍手が降り注ぐなか、笑顔でステージを後にした。

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