BACKBEAT AGAIN!
THE MODS、死刑台からの帰還。

THE MODS

文:なかしまさおり
撮影:勝村祐紀

BACKBEAT AGAIN!<br>  THE MODS、死刑台からの帰還。

THE MODS TOUR 2025 “BACKBEAT AGAIN”
2025年11月22日(土)福岡UNITEDLAB

BACKBEAT AGAIN!THE MODSがついに戻ってきた。森山の突発性難聴による活動休止から約2年半。「どうせ治らないなら、やるしかない」──そう覚悟を決めて挑んだ今年5〜6月のアコースティック・ツアー“REV REHAB AROUND”。そこでの経験を得て、ようやく叶った今回のツアー。仙台、名古屋、福岡、大阪、東京までを完走し、見事なオールスタンディング・ライヴでの復活劇をみせてくれた。BEA VOICE webでは、そんなツアーの福岡公演をルックバック!当日会場にいた方はもちろん、残念ながらチケットがとれず涙をのんだという方もぜひ、しばしお付き合いいただければと思う。

まず、終わってみての感想を先に記す。──とにかくもう最高だった。え?それだけ?アンタ、物書きでしょう?もっと他にふさわしいコトバや表現方法があるんじゃないの?と思われた方、ごもっとも。そうツッコまれることも覚悟の上で、もう一度記す。──とにかくもう、すべてが最高だったのだ。たぶん、これ以上、何かを足せばウソになる。あの日見たモノ、聴いた音、感じた心の震えはきっと、それぞれの心の中でしか再現することはできないし、それこそがホンモノだとも思うから。…だだ、一つだけ言わせてもらえば、ここまで饒舌に“バンドとしての物語”を語ったセットリストが、かつてあっただろうか?ということだ。それこそTHE MODSにはプロテストソング的なナンバーも多く、そうしたムードがステージ・テーマやデザインに反映されることも少なくはない。ただ、この日に限っていえば、そういう切り口とはまた別の、THE MODSというバンドの歩みをある意味“物語”として──それも“曲そのものの持つ物語性”も使いながら──編んでいこうとする意図を感じたのだ。

話は11月22日に戻る。開演数十分前から巻き起こる“恒例のモッズコール”が、オープニングSE──映画「タクシードライバー」のサントラ『God’s Lonely Man』──を掻き消すほどに高まった。その瞬間、投下されたのは最新曲『HURRICANE HURRICANE』。まさに“死刑台”から戻ってきたと歌う彼らの“いま”を象徴する曲だ。怒号のようなoiコールが、そのままバックビートとなって、バンドの心臓を動かしていく。<一度は折れた 心吠え出す/何度も泣いた 夜が輝く><燃えて燃えろ 灰まで/生きて生きろ 死ぬまで>──そんな、過去も未来も、すべてを含んだ“今の曲から始めるのだ”という、この気概。それだけでもう先述の“最高だった”の意味がわかってもらえるのではないだろうか。しかも…この日のアウトロのドラムのフレーズ。音源で聴いたときは思わなかったが、こうして、ライヴという場で、この“SEからの流れの中で”聴いてみると、“God’s Lonely Man”由来のフレーズなのでは?とも思えてくる。というのも、件のSEは独特のドラム・フレーズが印象的で、映画の主人公であるトラヴィスの孤独感や疎外感を象徴した曲として知られているからだ。まさに“闇のフチ”にいるような曲。であればなおさら、それを『HURRICANE HURRICANE』で打ち破ることには意味がある。

そんな現在地としての“REAL”をデビュー前後のヒリヒリとした“REAL”へと結びつけた『WATCH YOUR STEP』の後、自分たち同様、ファンにもさまざまな事情があることを思いやり、それでも「ロックを楽しんでください」と届けた『TEENAGE BLUE』。<どうせキツイ旅なら楽しめ>(『DRIVE WAY JIVE』)と、同じ空をつないだ苣木の『U.K.FLIGHT 583』で、『SHE’S THE C』、『T-O-K-Y-Oアイランド』、『激しい雨が』…と<転がる音にまたがり時間旅行>(『DRIVE WAY JIVE』)は進んでいく。赤ジャケ着用のジョーカータイムではトランプをバラ撒き(『TRUMP』)、『GO-STOP BOOGIE』では華麗なるダンスまで披露した森山。「いやー、ちょっとやりすぎた(苦笑)」と言いつつも「やっぱり、“立ち”(のライヴ)が楽しいねぇ」と満面の笑み。その後、しっとりとした『ロメオとジュリエット』を挟み、北里の『POGO DANCING』が炸裂すれば、『ゴキゲンRADIO』、『TOMORROW NEVER COMES』とボルテージは上がったままで本編は終了した。

しかし当然、これで終われるはずもなく、すぐさま沸き起こったモッズコールに戻ってきた4人。ファンへの感謝を述べた後、「このツアーが上手くいけば、またこのスタイルで来年もやれると思う。なんてたって45周年なんでね。ただ、日比谷の野音が工事に入って、ちょっと使えないっていうのが悲しいところなんですけど。とりあえず何かの形ではやりたいと思うんで、それまで元気でいてください」と告げた。1stアンコールでは、極上のバラッド(『バラッドをお前に』)に加えて、周のドラムがイントロから爆発。バンドのスターターへと着火(『壊れたエンジン』)すれば、スパークラーも噴き上がり、シャララの大合唱で締めくくった『LONDON NITE』まで、一気に3曲。それでも鳴り止まないコールに応えて、再び登場したダブルアンコールでは、戻るやいなや「TWO PUNKS!」と叫び、フロアにも歌声を求めていった。

「本当はちょっと諦めようかなと。ここで終わろうかなっていう気持ちも一瞬、あったんだけど。こうやってまた、戻ってこれて、今すごく幸せです」
「もうこれが最後かもわかんないんで、次(のツアー)は来ないと(ダメよ)。…いや、次“も”やね(笑)。モッズがいつ終わるかわからないんで、しっかり、今日のことを目に焼き付けといてください。オーライ?」

森山がそう語った間奏明けの大歓声と大合唱。そこから続いた『ONE MORE TRY』と『他に何が』の2つに通ずる“覚悟”も含めて、これはもう一生忘れられないライヴになったなと、つよく感じた。最後は「バイバイ博多!大好きです博多!気をつけて帰るように!」と言い残し、ふたたびステージを後にした4人。しかし、それをも呼び戻す形でコールがかかれば、ダメ押しのトリプル・アンコールへ。残る力のすべてをぶつけるかのように『LET’S GO GARAGE』をオーディエンスと共に叫び、この日のライヴは幕を閉じた。

ここでもう一度、最初の話を思い出してほしい。この日のセットリストには、THE MODSというバンドの歩みをある意味“物語”として──それも“曲そのものの持つ物語性”も使いながら──編んでいこうとする意図を感じた、と書いた。なぜなら、結果的にではあるが、アンコールも含めた全21曲のうち、2000年代の曲が2曲、1990年代の曲が5曲、それ以外はすべて1981年から1984年の14曲で構成されていたからだ。すでに、オープニングSEから1曲目の流れは述べた通り。M4の発するポジティヴなムードと“時間旅行”というキーワードも必要なポイントだったに違いない。またM9やM11には、曲そのものに映画のような物語性があり、それ以外の90年代ナンバーは、もはやライヴの鉄板といえるものばかり。しかも、それらは来年デビュー45周年を迎える彼らの歴史の中でも“分岐点”と言われるアルバムへの収録曲だ(EN1-2は『CLOUD9』に、EN2-3は『KILBURN BRATS』に収録)。もちろん、メインとなった80年代初期の曲については、いわずもがな。いくつもの時代をロックと共に生き抜いてきた、THE MODSというバンドの歴史、歌に込めた想いが“物語”として立ちのぼる“最高のセットリスト”だったのではないだろうか。もちろん、これはあくまでも筆者の印象。だから…あなたは、あの日、あの場所で、どう感じたのか?よければ、どこかで聞かせほしい。

ともあれ、MCにもあった通り、2026年3月13日(金)には再び、同じ場所でのアコースティック・ライヴが決定。春先には、これまでに所属した全レーベルからの楽曲を対象としたファンリクエストによるベスト・アルバム『memory of the mods favorite collection 45(仮)』もリリースされる予定だという。それに、改修工事で使えない“約束の地”日比谷野外大音楽堂の代わりに、どこで“約束の夜”を迎えるのか──フロアからは(野音がダメなら)「国立(競技場)でやれ!」の声も上がっていたが(笑)──来年もTHE MODSから目が離せない年になりそうだ。




【SET LIST】
M1.HURRICANE HURRICANE
M2.WATCH YOUR STEP
M3.TEENAGE BLUE
M4.DRIVE WAY JIVE
M5.U.K.FLIGHT 583
M6.SHE’S THE C
M7.T-O-K-Y-Oアイランド
M8.激しい雨が
M9.TRUMP
M10.GO-STOP BOOGIE
M11.ロメオとジュリエット
M12.POGO DANCING
M13.ゴキゲンRADIO
M14.TOMORROW NEVER COMES(WARNING FOR KIDS)

EN1-1.バラッドをお前に
EN1-2.壊れたエンジン
EN1-3.LONDON NITE

EN2-1.TWO PUNKS
EN2-2.ONE MORE TRY
EN2-3.他に何が

EN3.LET’S GO GARAGE

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THE MODS Premium Acoustic Tour 2026“REV REHAB ENCORE”

2026年3月13日(金)
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