The World Is Yours.
─世界は君のもの─
日本武道館への道〜番外編〜
a flood of circle
取材/文:なかしまさおり
INTERVIEW

前回の取材から、はや3カ月。気付けば、年明けにスタートした「20周年記念ツアー“日本武道館への道”」も、すでに後半戦へと突入。日々更新される公式Xの写真や特設サイトのカウントダウンに、「あと◯日」と表示されるたび、“おっ!いよいよだな!”と気を引き締めているファンも多いはず。そこで今回は“日本武道館への道〜番外編〜”と題して、前記事掲載時に間に合わなかったトピックや現在敢行中の対バンツアーにおける所感。はたまた、5月6日への想いやその後の展望など、佐々木亮介(Vo,Gt)に追加取材。知らなくても全然困らないけど、知っていると、より楽しめる?!かもしれないa flood of circle TIPSを作成したので、ぜひ前記事のボーナス・トラック的感覚で楽しんでいただけたら幸いだ。例によって、a flood of circleに関する過去記事は、本ページを最下部までスクロールした場所<RELATED ARTICLE>という枠内に並んでいるので、未読の方は、そちらもあわせて読んでみてほしい。
◾️INDEX◾️
①メンバー全員出演、TVCMオンエア
②盟友・加藤マニが手がけたMV
③現在進行形の対バンツアー、どんな感じ?
④レディクレで、愛がだだ漏れ、俺にくれ
⑤The World Is Yours.
⑥目を開けて見る夢
⑦おまけ【SASAKI-MIKIKI-LIST】
①メンバー全員出演、TVCMオンエア
もしかしたら、見逃した人も多いかもしれない。2025年11月29日(関東ローカル)、30日(全国放送)のゴルフ番組内にてオンエアされた総合エネルギー商社「三愛オブリ株式会社」の企業CM。撮影したのは映像ディレクター・加藤マニ氏。これまでも幾度となくa flood of circleのMVを手掛けてきただけあって、メンバーの表情の捉え方が実に見事だ。バックに流れる新曲『エンジン』はドラムの渡邊一丘が手掛けたという(プロデュースはwash?・奥村大氏)。5月の日本武道館公演で演奏してくれるかどうかはわからないが、“未来へ向けて挑み続ける”という“企業とバンドの共通姿勢”が衒いなく表現されていて、いい曲だ。今後、なんらかの形でひろく聴かれることを期待したい。
②盟友・加藤マニが手がけたMV
ところで、マニ氏といえば、今年1月末に公開された最新MV『SNAKE EYES BLUES』の演出も話題。画面には、ほぼ佐々木1人しか登場しないが、a flood of circleが、これまでに発表してきた“すべてのMV”をモチーフに、小物や衣装、エフェクトなどを通して、“結成20周年の軌跡”を愛情たっぷりに描き出している。
それゆえ、コメント欄は公開直後から大フィーバー。どのシーンで、どの曲が表現されているかなど、MVを何度も見直しながら確認したファンも多かったようだ。個人的にニヤリとしたのは、曲が終わった直後の10数秒間。ハサミを手にした渡邊が突然、画面にインし、カットクロスをつけた佐々木の髪をおもむろに切り始めるシーン。てっきり、“佐々木のあの長髪”は“武道館公演成功のための縁起担ぎかなにか”だと思っていたため、あっ、ここで切るのかと、ちょっと驚いた。それで、当の佐々木に縁起は担ぐほうかと尋ねてみたら「No。(理由は)一定を望んでいないから。…というか、足るを知らぬ業突張りだから、“起き続けてほしいほどの縁起”がないんですよね」とのこと。そもそも、件のシーンも、MV撮影にヘアメイクが要ると思ってスタッフがブッキングしてくれていたそうだが、やってもらったのは、ゾンビとかピエロとかのメイクだけで、これだとヘアメイクさんも現場に来た甲斐がないのでは?と思い、ヘアカットをしてもらうことにしたのだそう。「でも(やるんだったら)坊主になるぐらいしないと、インパクトなかったですね…」と苦笑い。ちなみにマニ氏のYouTubeチャンネルには、自身が手掛けたa flood of circleのMVを佐々木と一緒に振り返る企画もアップされている(2024年12月時点のものまで)。けっこうレアな初期映像も確認できるので、結成20周年の今こそ、見てみてほしい。
③現在進行形の対バンツアー、どんな感じ?
前記事の時点は、まだツアーも始まっておらず、アルバムの曲をツアーで演るとなると「さらに、ひと手間かかる」と(作った本人ながら)嘆いていた佐々木。実際は、どうだったのか?「多分、印象は(音源とライヴとでは)そんなに変わんない。もちろん、ライヴだと“音源に入っている音”はほとんど聴こえない。でも、むしろ、あの曲たちを同期くっつけてライヴで演るほうが変な感じになる気もするし。体感としては、いい感じ」。メンバーの感想は?「どうなんだろう?聞いたことないな(笑)。それこそツアー前から、リハとか練習とかを(メンバーは)したがってたんで。今(対バンツアーで)演ってる7曲だけは、ちょっとやったんですよ。でも、それが俺にはイヤすぎて(苦笑)。だって、(リハ通りに)上手にできたって、絶対つまんないじゃないですか?だから、メンバーにはホント申し訳ないんだけど、そこはもう(これ以上はリハはやらないってことで)甘えさせてもらってます!」。
現在、ツアー各地で「ゲスト・バンドの凄みを感じてる」という佐々木。「いつもよりお客さんが多いのも、ゲストのおかげだと思うので、勘違いして、後で悲しくならないよう“集客数は幻だということを忘れるな”と(自分を)戒めてます」。4月の名古屋・福岡公演にはSIX LOUNGEが登場するが、彼らとは、2021年(結成15周年)にリリースしたアニバーサリー・アルバム『GIFT ROCKS』で、『LADY LUCK』という曲を提供してもらうなど、普段からの交流も深い。「これまで何度も一緒に演ってるので、もしかしたら、もう飽きられてるかも(笑)。でも、大好きなバンドだし、出てくれて嬉しい。ホントは(この対バン公演で)“あとは任せた!”って言いたかったんだけど、“売れてるほうが先輩”という考え方でいくと、完全に(彼らのほうが)先輩なので、“(武道館まで)連れてってください!”と思ってる」。
④レディクレで、愛がだだ漏れ、俺にくれ
さて、『GIFT ROCKS』といえば、同じく曲提供をしてくれた田淵智也氏(UNISON SQUARE GARDEN,THE KEBABS)& 山中さわお氏(ex-the pillows,山中さわお & ELPIS)との年末共演も大きな話題に(*2025年12月27日『FM802 RADIO CRAZY *1 presents a flood of circle 5.6 「武道館に架ける虹」@LIVE HOUSE Antenna -BEYOND ZERO Garage-』)。とくに、さわお氏とのステージでは、勢いあまって、頬にキスする場面までバッチリ動画でアップされ、まさに“愛がだだ漏れ”の一夜だった模様。だが、思えばこの3アーティスト、『GIFT ROCKS』でつながっているということ以外にも、共通点がいくつかあることは、お気づきだろうか。
ひとつはUNISON SQUARE GARDENもthe pillowも、結成20周年で日本武道館のステージに立ったバンドであるということ。もちろん、どうしてそのタイミングだったかは、バンドそれぞれに異なるだろう。だが、普段から両者へのリスペクトを公言しているa flood of circleにとっては、その事実自体が、かなり心強いバイオグラフィーになっていると思われる。それに、もうひとつの共通点──a flood of circleが2008年にリリースしたアルバム『泥水のメロディー』に収録した『世界は君のもの』という楽曲および、フレーズ──が、彼らを見えない絆で結びつけているようにも感じるのだ。
*1)2009年から毎年年末に開催されているFM802主催の屋内型ロック・フェスティバル。2015年には、このフェスのための楽曲『レディオテレグラフィー』をthe pillowsが制作。佐々木はその曲にヴォーカリストとして参加している。その時の映像はコチラ→「the pillows & 佐々木亮介『レディオテレグラフィー』ティザー映像」
たとえば田淵氏は、2008年の、a flood of circleの楽曲を踏まえた上で、新たに『まだ世界は君のもの』という曲を『GIFT ROCKS』に提供。さわお氏は(偶然かもしれないが)、ほぼ時を同じくして、自身のソロ曲『その世界はキミのものだ』をリリースしている。なんという符合だろう!
実は筆者も(これも偶然なのだが)、前々回の『WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース』のインタビュー記事でその言葉を引用した。もともと、この曲が好きで、ずっと心に刺さり続けているということもあるが、a flood of circleが描く世界の中で重要なモチーフのひとつとなっている“羽根(翼)” ──今ここから飛び立つための、あるいは、囚われの何かから自由になるための象徴?──が、この曲を起点としているのではないかと感じるからだ(*もちろん同時期の『ブラックバード』や『シーガル』にも“翼はあるだろう?”とおっしゃる方も、ごもっとも。でも、筆者的には若干、視点の違いを感じることと、『シーガル』においては歌詞に羽根(翼)がないので“起点”扱いせずという感じ)。だから、正直そのフレーズが最新アルバム『夜空に架かる虹』の『キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)』で、再び引用された時には、“うわ!このタイミングでもう一度来たっ!”とワクワクしたし、曲自体、佐々木の脳内を垣間見るようなゴッタ煮の面白さで、かなり“強靭な羽根(翼)をつけて飛ばそうとしている”のを感じたのだ。
⑤The World Is Yours.
「好きな言葉なのかもしれないですね。それこそ(“世界はお前のもの”だから)もうなんでも好きにやっちゃえよ、って。多分、(そのフレーズが使われたことで)いちばん有名なのは映画『スカーフェイス』*2 だと思うんだけど。あの映画では、それが暴力とか破滅的なほうに行っちゃった。ただ、自分としては、もっとポジティヴな意味も感じてて。その(なんでも好きにやっちゃえよっていう)自由さの中で、結局、何を選ぶのか?ほんとはもっと人のせいにしたかったり、環境のせいにしたかったりすることもいっぱいあるんだろうけど、そこも含めて“君のもの”だよって言う、そういう表裏一体感が好きなのかも?とくに今回(のアルバム)は自分よりも若い人とか、その(若い人たち)ぐらいの年齢だった自分に向けて、書いてたところもあるから。それで余計に「世界は君のもの」って言葉を言いたくなった。とくにここ何枚かは歩いてる曲が多かったし、その次は山に行っちゃったりして、どんどん重力が強いアルバムになってったから、今度はだんだん自分が苦しくなっていってて…。そんなとき、(いま話したような)若い世代の人たちに“(a flood of circleの曲に)助けられました!”みたいなことを言ってもらえて、逆に俺自身が助けてもらったんですよね。だから、20年間ずっと思ってたっていうよりかは、そういうのの反動で、久しぶりにそれ(そのフレーズ)が“帰ってきた”という感じ。あと、ひらがなにした時の濁点もないしね(笑)。尖った言葉に聴こえないのに、ちょっと恐ろしい感じもする、そのバランスも含めて好きなんだと思う」。
自らが“飛ぶ”のではなく、君を“飛ばす。羽ばたかす”ための“翼”作り(=曲作り?)。アルバム収録曲『KILLER KILLER』でも佐々木は<君は飛べる 君は飛べるんだよBABY>と歌っているが、その視線の先に、はっきりと見える顔があると言うのは、とても幸せなことだと思う。「うん、飛ばしたいっすよね。それこそ、西村賢太 *3 さんの本は俺、『苦役列車』の解説を町田康 *4 さんが書いてたのをきっかけに読み始めたんです。で、2011年頃の『新潮』かな?バックナンバー買って読んだら、西村さんと町田さんの対談があって。西村さんは負の部分を書くことで(そういった感情を)“飛ばしてる”(=自由にしている)みたいなところがあるんじゃないかって。苦しい経験をしているから、おもしろいんじゃなく、その苦しいこと、悲しいことを書くのが楽しすぎて、それが(読み手に)伝わってくるから、おもしろいんだっていうようなことを言ってたんですね。実は自分も──本当は苦労の経験がでかい人ほど(それを飛ばすときの)飛距離も出せると思うんですけど、そういう意味では全然恵まれてる人間なんで出せないと思ってて。だったら、そういう部分に対して、作ることそのものの楽しさとかが爆発してる状態にしていたいなって、ずっと感覚的には思ってたんです。そしたら、それを(その対談で)町田さんが言語化してくれてて。さすがだなと思って。それがあると、例えばレディオヘッドみたいに、なんか暗いなと思っても、それを作品にしてる時点で超ポジティブってことだと思うんで、そこを毎回求めてるような感じなのかなって。もちろん、“これはバンドの状況的に今必要か?”とか、いろいろ考えなきゃいけないこともあるけど、根本的には、自分の体重が乗って、“すげぇ面白いことしてるぞ!”って信じることができてるときに、いい曲が出てくるような気がする。だから、そういうふうに(気持ちや状況を)常に持っていきたいなとは思ってますね」。
なるほど。では、あらためて訊く。“The World Is Yours” ──今、いちばん言いたい相手は誰?「俺」。
*2) 『スカーフェイス』(原題:Scarface、監督:ブライアン・デ・パルマ、脚本:オリバー・ストーン、主演:アル・パチーノ/1983年・ユニバーサル・ピクチャーズ)。1932年の名作『暗黒街の顔役』(原題:Scarface、監督:ハワード・ホークス)をリメイクし、大ヒットしたギャング映画の金字塔。作中、象徴的なシーンに“The world is yours”のフレーズが登場する。フレーズそのものの元ネタはシェイクスピアの戯曲『ウィンザーの陽気な妻たち』から。
*3) 私小説家。心疾患のため2022年、54歳にて逝去。貧困や孤独など、自身の体験を赤裸々に描いた作品を数多く残した。2011年には『苦役列車』で芥川賞を受賞。藤澤清造の“没後弟子”を自称し、その研究・復刊などにも尽力した。
*4) 小説家・俳優・ミュージシャン。バンド活動を経て、1997年に初小説『くっすん大黒』でデビュー。野間文芸新人賞を受賞した。2000年には『きれぎれ』で芥川賞を受賞。その後も、萩原朔太郎賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など、数々の文学賞を受賞している。
⑥目を開けて見る夢
というわけで、“ボーナス・トラック”と言いながら、どっちが本編かわからないぐらい長くなってしまったが、最後に肝心の5月6日の話を訊いておこう。セットリストは、そろそろ考え始めているのだろうか。「そうですね。でも、特殊なことは多分、演れない。それこそ再生回数が多い曲を上から順に演ってって、途中でわざと、あんまり人気のない曲を1曲挟む…みたいな普通のことしかできないかも(笑)」。とは言え、1曲目に何を演るかは大事なわけで。「今のところ候補が2曲あるんですよね。でも、最近は“新曲もいいかな?”って思ったりして。というのも、おかげさまで、今の時点で“多分、黒字”と言われているし、俺の中では正直、もう武道館(のことは)、終わってるんです。もちろん、この後、“やっぱり赤字でした!”みたいなことが判明したら、慌てていろんなことをやるかもしれないけれど、(5月6日に関しては)もう“普通のライヴ”でいいのかなと。だから、どっちかっていうと、武道館の“後”どうしよう?っていうのが気になってて。実はもう、それしか考えていないかも。というか、それが決まってなさすぎて、今は怖いんですよね。だから、また悩んでます(苦笑)」。
「ただ、武道館では絶対、新曲を1個は演ろうと思ってて。今、それを作ってるところです。でも、(現時点では)どれも決定打に欠けてて。悪くはないんだけど、エネルギーが弱いという感じ。それこそ、自分は子どもの頃から、映画とか本とか(曲の)歌詞とかに、“この世の答え”が書いてあるんじゃないか?って、期待しているところがあるから。(曲作りにおいても)そういうものを探すような気持ちがずっとあるのかも。だから、まずは自分の心がビリビリするような感動とか、心底“やばい!”って思えるようなもの、それを作りたいと思ってるんだけど…それができなくて、いつも焦ってる。ただ、ゴッホだって、あんなにたくさん絵があるのに、パッと思いついて(みんなが作品名を)言えるのって、多分5枚ぐらいだと思うんですよ。ってことは、俺が何百曲書いても、そんな大したことじゃないよねって。だから、長い目で考えると、(焦らなくても)“これだ!”っていうのを死ぬまでに掴めたらいいのかなって。まぁ、でもそうやって、1回掴めても、その楽しさとか、フレッシュさが大事になってくるとしたら、また何かをしなきゃいけないわけで…。それが、やっぱり、すごくめんどくさい(笑)」。
いずれにしても、自分たちの想いだけでは決して叶わない“目を開けて見る夢”が、もうすぐ叶う。そこからはいったい、どんな景色が見えるのだろう。でもきっと、シリアスにこそ、ユーモアを。痛みのかたわらにこそ、可愛さとポップさを。ちょっと歪だけれど、彼らにしか歌えない歌がそこには広がっているのだと思う。できれば、ひとりでも多くの人とその景色を心に刻めますように。まずは4月17日福岡・BEAT STATION、そして5月6日東京・日本武道館で、“大爆笑”で会いましょう!
⑦おまけ【SASAKI-MIKIKI-LIST】
“キメラ作りの日々”に注入される、さまざまなエレメント。その一部を知れば、さらに曲が楽しめるかも?!興味のある方は是非“見聴き”してください。*回答は2月末時点のモノ。初読・初見だけではなく、再読・再鑑賞も含む。※は筆者註。
◾️直近で読んだ本
『焼却炉行き赤ん坊』(西村賢太)「こういう人が賞を獲るなら、これ以上って、この世にあると思えない」
『駈込み訴え』(太宰治)「イエスもユダも太宰治も、こいつらみんな歳下かと思うと青春物としか思えなくなったが、やっぱりすごく面白い」
『菜食主義者』(ハン・ガン)「ノーベル賞を獲ったという情報から入ったミーハー。犬の殺し方に西村賢太さんみがある。受賞記念講演が載っている『光と系』もたった今、読んだところ」
※自虐とユーモアが混ざった語り口で知られる太宰の名は『キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)』にも登場する。
◾️好きな作家
それが“小説家”という意味だったら、いない。“音楽の人”も意味するなら、草野マサムネさん。最初はとにかく“曲と詩と歌と雰囲気”が気持ち良くて好きになった。でも、今となっては“バンドであるということ”、“逃がしてくれるということ”が(自分にとっては)重要だったのかもと思う。
※以前から佐々木は自身の曲に表出する“飛ぶ”系のイメージを「スピッツイズムのあらわれ」とも言っている。
◾️直近で観た映画
『ザ・ホエール』(原題:The Whale/監督:ダーレン・アロノフスキー)「画面がずっと一ヶ所に留まっているのに、すごく面白い」
◾️好きな映画監督
ウェス・アンダーソン。毎回必ず新作を観る。壊れた家族ものばかりで、回復するようなしないような流れが多いが、そこに惹かれる。
◾️好きな脚本家
ウェス・アンダーソン。(映画監督としても好きだが)脚本家として好きなのかも?というのも、ノア・バームバックとやってる『イカとクジラ』(原題:The Squid and the Whale/監督・脚本:ノア・バームバック、製作:ウェス・アンダーソン、ピーター・ニューマン)が(自分には)刺さってるんだけど、ウェス映画の、あの画面の異常な素敵さがないのに好きだと感じるのは、おそらく(『イカとクジラ』はウェス脚本ではないが)脚本か演出の部分が大きいんじゃないかと思う。ウェスのストップモーションのやつも好きだけど、それも(脚本が)家族ものだからな気がする。
※ウェス・アンダーソン。アメリカ出身の映画監督・脚本家。シンメトリーな構図や色彩美にこだわった個性的な映像表現で知られている。一風変わったキャラクター、哀愁とユーモアが混在する独特の作風が人気。代表作に『グランド・ブダペスト・ホテル』など。
◾️直近で見たドラマ/アニメ
恋愛リアリティショーって、ドラマですか?だとしたらNetflixの『ラヴ上等』。ある意味、『ザ・ホエール』と同じで、見たことがないものを見たいから作るってアイディアが尊い。コンセプト自体が発明。たぶん、自分もそういうことを(音楽で)やりたいんだと思う。
◾️好きなマンガ家
しりあがり寿。かっこいいから。
◾️直近で読んだマンガ
『青野くんに触りたいから死にたい』(椎名うみ)「ハイパーポップを聴いてる時の気持ちに近い感情になる。100 gecs(ワンハンドレッドゲックス)を初めて聴いた時の感動を思い出した」
『七夕の国』(岩明均)「主人公に華も闇もないのに面白いって、すごい」
『二階堂地獄ゴルフ』(福本伸行)「毎新刊が楽しみ」
『住みにごり』(たかたけし)「西村賢太さんと同じで、これよりすごいものがあると思えない」
◾️好きな落語家、好きな演目
春風亭昇羊くん。あんまり詳しくないので友人を挙げたが、実際、面白い。好きな演目は、20年くらい前に、初めて聴いた落語のCDが(6代目)三遊亭圓生の『茶の湯』だったので、それが印象深い。
◾️好きな漫才師/コント師
金属バット。面白いし、かっこいいから。
◾️好きなお菓子
可愛いと思われたくて言ってる感があってアレなんですが、嘘をつかなければ“アポロ”。
◾️好きなお酒
白ワイン。ずっと飲んでいられるから。でも、消費量でいったら、焼酎お茶割りの缶酒。
◾️エゴサ、する派?しない派?
“しない派”に憧れる“してしまう派”。
◾️最近した“大失敗”
“小失敗”なら、革ジャンをライヴに持って行き忘れたこと。その場のお客に借りました。ビビりだから、あまり大失敗できず、それ自体が“大失敗”とは、言える。
◾️最近あった“うれしかったこと”
歌人の小坂井大輔さんがやっている、名古屋の平和園という中華料理店に行けたこと。
※短歌にまつわるエピードは<PROFILE>を参照のこと。
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LIVE INFORMATION
PROFILE
a flood of circle
佐々木亮介(Vo,Gt)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)、アオキテツ(Gt)。2006年の結成以降、さまざまな試練にブチ当たりながらも、自らの進む未来を不屈の精神で常に更新し続けているロックンロール・バンド。【SASAKI-MIKIKI-LIST】の続き。短歌と佐々木の出会いは19歳の頃。現代短歌を代表する歌人のひとり、穂村弘氏の本を読んで感銘を受け、以来、さまざまな本を読んできたという。そんな中で昨年、新宿・紀伊國屋で平積みされていた小坂井大輔氏の『KOZAKAIZM』と出会う。「短歌にしてはずいぶん派手なジャケット(装幀・装画は名古屋在住のアーティスト、鷲尾友公氏)で、帯にはTHA BLUE HERBのBOSS(THE MC)さん!もうロック的な匂いしかしないし、“何コレ?!”と思って読んだら、すごく面白かった。中華屋で働いてるリアルさとか、ボクシングとかしてて肉体派なのに、ちょっと情けなさもあったりして、すごくシンパシーを感じた」。ちなみに最新アルバム収録の『全治』というタイトルはこの本からの引用(*小坂井氏本人も認知済)。同じく、短歌つながりで前作収録の『ひとさらい』は、ファンから教えてもらったという歌人・笹井宏之氏の作品にインスピレーションを受けてつけている。ところで、取材後に気付いたことなので佐々木には、まだ伝えていないが、ここにも“世界は君のもの”的つながりが作れちゃうかも?と発見。つまり、BOSS THE MC→NAS『Illmatic』→『The World Is Yours』。あくまでも筆者の連想なので、共感したい人だけしてください(笑)。