「またいつか、最高な週末のパーティーを」。
Deep Sea Diving Club念願の初ワンマンツアーが開幕!

Deep Sea Diving Club

Text:モリカワカズノリ
Photo:勝村祐紀

「またいつか、最高な週末のパーティーを」。<br>Deep Sea Diving Club念願の初ワンマンツアーが開幕!

Early Dive tour 2022
2022.1.10 mon FUKUOKA BEAT STATION

「本当なら、一年くらい前に実現する予定だったんですが…」。過去のインタビューで、ドラムの出原はワンマンライヴへの思いを語っていた。そしてついに、2022年1月10日(月・祝)、Deep Sea Diving Clubのワンマンツアー“Early Dive tour 2022”が、FUKUOKA BEAT STATION(以下、ビーステ)で開催された。

Deep Sea Diving Club(以下、DSDC)は、“TENJIN NEO CITY POP”を掲げ、谷 颯太(Gt,Vo)、出原昌平(Dr,Cho)、鳥飼悟志(Ba,Cho)、大井隆寛(Gt,Cho)によって、2019年に福岡で結成された4ピースバンド。オルタナティヴロック、R&B、ジャズなど縦横無尽にジャンルを横断しながら彼らにしかできない音楽を生み出している。そんなDSDCにとって初のワンマンツアーが、いよいよ幕を上げたのだ。

記念すべきライヴの口火を切ったのは、ミドルテンポで爽やかなメロディラインが心地良い『おやすみDaydream』。緊張を解きほぐすように、そして、じっくりと今日という日を噛み締めるように、谷が丁寧に歌い、バンドが優しく包み込む。

続けて、『しじま』では、サビから入るライヴならではのアレンジを披露し、徐々にオーディエンスを引き寄せていく。

3曲目には彼らのカタログの中でも最もアップテンポな『Just Dance』を投入。その瞬間、一変してミラーボールが回り出す。小気味良いギターリフ、一切ブレずに旋律を支える五弦ベース、バンドをまとめつつキレの良さを刻むドラム、HIP-HOPを織り交ぜたソウルフルなヴォーカル、すべてが噛み合う。会場全体のチューニングがバッチリ合い、フロアが自然と揺れていた。この時、彼らの目の前には、待ち焦がれていた絶景が広がっていたことだろう。

「あちー」。曲が終わり、谷が、序盤にして一気にボルテージを上げた直後のMCで、バンドと会場の熱量の高さを実感した。

「初ツアー、初ワンマン、そして、初日をビーステで迎えることができて本当にうれしく思います。(コロナ禍で)ルールがある中だけど、楽しんで帰ってください」(谷)。言葉少なに感謝の言葉を口にした後、『OLD TOWN』を挟み、サポートメンバーのキーボードが緩やかに鳴り響いた。それに呼応するようにほかの楽器が絡み合いジャムセッションに。会場全体が陶酔感に浸りながら、そのままの雰囲気で、『あくまとおどる』『sunselco』と穏やかなグルーヴを奏で、チルタイムへと誘った。

MCでは、最年長の鳥飼が「なんかいい感じですね。今日、とてもいいライヴができそうです」と話し、大井は「コロナ禍で心配したけど、こんなにいっぱい入ってもらって、本当にうれしいです」。出原は「あけましておめでとうございます!最後まで楽しんでください!」と、感謝を伝えた。

後半は、コラボ三部作の『SUNSET CHEEKS』『フラッシュバック’82』からスタート。『SUNSET CHEEKS』はMichael Kaneko、『フラッシュバック’82』はRin音とのコラボで、それぞれコラボ相手との掛け合いやハーモニーが魅力的なのだが、ライヴバージョンでは谷がすべて一人で歌い上げる。Michael Kanekoの英語リリック、Rin音のラップパートなども谷のヴォーカルでカヴァー。音源では聴けない、まさに特別バージョンだ。

東京公演(1/23@東京SHIBUYA WWW)では、Michael Kanekoをゲストに迎え、“オリジナル”の『SUNSET CHEEKS』がライヴで実現する。どんなグルーヴ感が生まれるのか、想像しただけでもワクワクせずにはいられない。

MCを挟んで、80〜90年代シティポップを現代版にアップデートした注目の新曲『CITY FLIGHT』をプレイ。直後のインタールードが会場を包み込む中、谷が「また、前みたいにお酒飲んで、踊って、歌って、みんなで普通にパーティーができる。そんな週末が来るまで、今は、ルールの中で楽しんでいきましょう」とフロアに語りかけ、DSDCのアンセムチューン『T.G.I.F.』をパフォーマンス。

音源ではダブに転調するシーンを、パーティー仕様のジャムセッションにアレンジ。自由に、楽しそうに楽器が響き合い、『ナイトクルージング(Fishmans)』の一節を自然に織り交ぜるなど、ヴォーカルのフェイクも最高潮だ。この幸せな時間がいつまでも続けば良いのにという願いを“祈るように繰り返し”ているように思えた。会場をこの日一番の高揚感で満たしながら本編が終了した。

アンコールでは、全員、新作のグッズを身につけて登場。本ツアーを記念して作られたTシャツやロンTなど、こだわりのグッズをひと通り紹介した。

「最近は、クリスマスもお正月もなく、ずっと曲を作っていました(笑)。その中から一曲演りたいと思います」(谷)。アンコール一曲目にプレイしたのは、初出しの新曲『SARABA』。幻想的なシンセのイントロから徐々にスピードアップし、ハネるようなドラムとギターリフが印象的なパワフルなナンバーだ。オーディエンスとクラップを楽しみながら一気に駆け抜け、最後はエモーショナルに、『cinematiclove』で締めくくった。

全曲が終わり、惜しみなく注がれた大きな拍手は、初日が間違いなく大盛況だったことを証明。この日を待ち望んでいたのは、バンドメンバーだけではなかったということだ。

会場が充実感に包まれながらも、ステージを後にする彼らには、幸福感と次への決意が満ちあふれているようだった。そう、ツアーはまだ始まったばかり。このライヴを経て、どう変化していくのだろうか。高なる鼓動を抑えながら、大阪、東京へ。レッツゴー。

【SET LIST】
M1. おやすみ Daydream
M2. しじま
M3. Just Dance
M4. OLD TOWN
M5. ジャム
M6. あくまとおどる
M7. sunselco
M8. SUNSET CHEEKS
M9. フラッシュバック’82
M10. CITY FLIGHT
M11. interlude
M12. T.G.I.F.

EN1. SARABA
EN2. Cinematiclove

【NEXT LIVE】
Early Dive tour 2022
・2022年1月22日(土)大阪 OSAKA NOON + CAFE
・2022年1月23日(日)東京 SHIBUYA WWW
https://www.bea-net.com/liveinformation/artist/2201deepseadivingclub.html

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